内容説明
イトマン事件、コスモ信組事件、TCW事件…経済犯罪史に残る三事件の裏面で蠢いた日経幹部がいた。元・日経エース記者だった著者は、疑惑を追及するため孤独な闘いを挑む。精緻な分析・調査によって、浮かび上がってきた背筋の寒くなるような真相とは―。
目次
第1部 汚れたカネ(スクープ;闇に食われたイトマン;歪められた第一報 ほか)
第2部 サラリーマン記者(赤坂「クラブひら川」;社説の欺瞞;沈黙という「未必の故意」 ほか)
第3部 決起(鶴田卓彦という男;懲戒解雇;後に続いた現役記者、OB ほか)
著者等紹介
大塚将司[オオツカショウジ]
1950年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。1975年日経新聞入社。証券部、経済部で証券業界、銀行、大蔵省、通産省などを担当。「三菱銀行と東京銀行の合併」で1995年度新聞協会賞受賞。鶴田社長(当時)の疑惑を追及したことなどにより2003年日経新聞社を懲戒解雇されたが、法廷闘争の末2004年12月に復職
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感想・レビュー
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yokmin
14
日本経済の方向をリードしていると自負している日経の社長の目に余る公私混同や、戦後最大の経済事件と言われるイトマン事件等々に触れている。一番興味深いのは、イトマン事件。闇の勢力に取り込まれ、1,000億円以上の金が消えてしまった。大塚氏の情報源でもあった国重淳司氏(住銀行員)の記した「住友銀行秘史」に詳しく説明されているようなので、読んでみたい。2020/05/31
緋莢
12
三菱銀行と東京銀行の合併、イトマン事件など数々のスクープを書いた著者。だが、自身が所属する日本経済新聞に、ある疑惑が持ち上がってくる。 高金利をうたった危険な信組への高額預金、イトマン事件の協力費、日経100%出資の工事会社「TCW」の巨額の使途不明金・・・その中心に社長・鶴田卓彦がいて・・・2015/11/13
鎖夜了
2
日経のエース記者だった著者がイトマン事件から、同社の社長と対峙するまでを詳細に描く。かつての鶴田社長が報道機関を私物化していた日経の実態には正直驚いたが、それよりも大塚将司という1人の報道人の生き様に心が揺さぶられた。取材対象と密接な関係を築くことにより、スクープを連発するタイプだった著者は、批判性に乏しい「サラリーマン記者」と揶揄されていた。しかし、コンプライアンスの崩壊した日経を立て直す為に、社長と刺し違える覚悟で、一介の「ジャーナリスト」に生まれ変わる。大塚さん、正直、格好良すぎて惚れました。2014/09/19
はかり
2
懐かしい名前が出たりして楽しめた。日経のこんな事件はあまり記憶にないが、最近の朝日新聞報道事件もあって、新聞はあまり信用できないと感じた。2014/09/20
ミノカサゴ134
1
経済に疎い自分は、日本経済新聞社というのは、超エリートの集団なんだろな、と思っていた。しかし、一皮剥くと野放図に公私混同をしているのが、あろうことか社長であり、その取り巻きだとはねぇ(おまけに自分の愛人の娘に自分の子供を産ませるなんて事実であればもう人間ではない)。著者は、一人の株主として、株主総会で社長の解任を議題にすべく行動を起こすが、逆に懲戒解雇されてしまう。それからの著者の奮闘と、OB社員達、また著者と親交のある金融機関の幹部の支援は、「世の中は捨てたもんじゃないな」と思わせる内容だった。2020/07/26
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