内容説明
太平洋戦争終戦間際の昭和二十年八月―。本土決戦を水際で食い止めるべく、人間機雷部隊が極秘に組織された。ひたすら「死」に向かうだけの特攻潜水訓練がなぜ行われたのか。徹底取材でいま明かされる「知られざる戦争」。
目次
第1章 事故死
第2章 特攻の系譜
第3章 本土決戦
第4章 情島
第5章 終戦
第6章 それぞれの戦後史
著者等紹介
瀬口晴義[セグチハルヨシ]
昭和39年1月生まれ。東京都出身。昭和62年、中日新聞(東京新聞)入社。宇都宮支局を経て平成4年1月から社会部記者。検察・裁判担当をはじめ教育問題を担当してきた
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感想・レビュー
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mimm
7
終戦間近、本土決戦のために潜水服を着て海底に待機し、棒機雷を突き上げて自爆する原始的な特攻隊【伏龍】が準備されていた。幸い実用される前に終戦を迎えるのだけれど、人の命を何だと思ってるんだこの上の人たちは…と怒りがこみ上げてきます。原爆に関して、米国の免罪符として水増しされた被害予想も、何と言うか遣り切れない。戦争を知らない世代ですが、忘れてはいけないひとつだと思いました。あまりにも愚かすぎる上層部。2012/05/05
りんふぁ
3
飛行機がないから、こんどは人間そのもので…って発想が既にイカれてる。自分がやるわけじゃないから、と、軍部上層部は感覚がドンドン麻痺していたのだろうな。普通に考えて、有効な手段ではないもの。練習中に亡くなった方々は無念だっただろうに。練習中で死ぬ仲間を見、自分も死ぬかも知れないと分かりつつも、この国を、家族を守ろうと練習を重ねた方々には敬意なんかじゃ足りない、と思った。2015/08/20
補充兵
3
訓練中、目の前で事故が起きた直後に潜水を命令されて「恐い!」と泣き叫ぶ少年兵の話が頭から離れない。伏龍で誰が何人亡くなったのかくらいは明らかにできないものか。2014/11/19
fantasy
3
「永遠のゼロ」を読んだことがあるが、情勢が悪化する頃にはゼロ戦の特攻隊に志願した少年らはこの「伏龍特攻隊」にまわさることがあった。実戦で使われることはなかったそうだが終戦によって一千人の無駄死が無くなったことは不幸中の幸いだ。2013/06/11
かば◎
1
なぜ伏龍の出撃基地が稲村ケ崎にあったのか、が知りたくて図書館で借りて読む。求める答えはなかったが、計画の発想から編成、装備と、ありとあらゆる部分がいかに杜撰であったのかはありありと判る。稲村ケ崎に基地があったのも、単に上陸が予測される相模湾にあり、かつ、海に向けて洞窟が掘りやすい地形だったから、というだけの理由であったのかもしれない(地形的に七里ガ浜が実際に上陸適地であったとは思いづらい)。もちろん、「どうせ適当に考えただけだろう」で思考停止しては仕方がないが。2019/09/01
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