内容説明
人は一生かかっておのれのエロスの何たるかを知る。あるいは、知らずに死ぬ。人気作家たちのエロスへの挑戦。
著者等紹介
津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年9月4日、広島市生まれ。’89年より津原やすみ名義で少女小説を、’97年より現名義で幻想小説を発表。2004年夏、伊CS Coop.Studi Libreria Editriceの国際アンソロジー“ALIA”に短篇数篇が訳出収録される
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年、愛知県生まれ。’74年、明治大学卒業。同年「SFマガジン」に『神狩り』でデビュー。SF、ミステリー、30枚前後の短編、冒険小説等を執筆しつづける
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年、北海道生まれ。’94年、『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。’97年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花賞受賞。2004年『後巷説百物語』で第130回直木賞を受賞
桐野夏生[キリノナツオ]
1951年生まれ。成蹊大学卒業。’93年『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞受賞。’98年『OUT』で第51回推理作家協会賞受賞。’99年『柔らかな頬』で第121回直木賞受賞。2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花賞受賞
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年生まれ。早稲田大学卒。’93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補に残った『慟哭』にて東京創元社よりデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
92
京極夏彦、桐野夏生、貫井徳郎、皆川博子and more...と錚々たる顔ぶれによる官能小説アンソロジー。「人は一生かかっておのれのエロスの何たるかを知る。あるいは知らずに死ぬ」桐野さんの序文だけでこの凄み。「所詮エロスなど観念に過ぎない」という京極さんの一文に深く頷きつつ。エロスとは自分の深い部分での本質であり、業が深く掴みにくい。官能というよりは直接的にはあまり書かれておらずなんとも文学的。皆川さんは時間も感覚も空間もすべて幻惑のようで、悪夢のようで、彼岸の炎に身を包みたくなる。2016/09/04
ケイ
62
作家によるWebでの小説集。官能をテーマに京極さんが何を書くのかで手にとったが、彼の官能は…。解説にもある『嗤う伊右衛門』のように、官能を描かなくてもぞくっと匂い立つようなお話の方がいい。津山泰水『淫魔季』ブラバンでなくペニスの方の路線。山田正紀『愛の嵐』舞台がシベリア抑留地なのがまる。貫井徳郎『思慕』官能の作家ではないと期待していなかったのに、引き込まれてしまいやられた。官能に釣られてミステリー作家だと忘れていた。我孫子丸武丸『危険な遊び』これも官能でベールをかぶせたミステリー。あとは、斜め読み。2014/05/12
Satomi
48
桐野さんが発起人の「官能小説アンソロジー」。貫井さん目当てで手にした一冊♪ホラー!?SF!?純文学!?時代小説!?…多少のエロさはあるが官能小説というカテゴリーとは思えないような、作家さんそれぞれの個性あふれる作品揃い♪貫井さんの「思慕」我孫子さんの「危険な遊び」が良かった!!2015/04/12
kazu@十五夜読書会
37
桐野 夏生さんの「村野ミロシリーズ」検索で桐野作品が含まれていて書架に並べてあって連れて帰った本。ミロシリーズと併読した『18禁図書』エロス満載で、淫魔季 津原泰水著. 愛の嵐 山田正紀著. 大首 京極夏彦著. 愛ランド 桐野夏生著(旅先での3人の女性の告白). 思慕 貫井徳郎著. 柘榴 皆川博子著. あの穴 北野勇作著. 危険な遊び 我孫子武丸著・など8編を収録する。2013/04/20
竹園和明
35
桐野夏生の「人類の謎であるエロスを、作家は文章によって表現すべき」という呼びかけに賛同した8人による官能アンソロジー作品。「官能」の解釈がそれぞれ微妙に違っておりバリエーション豊富。桐野夏生「愛ランド」は40代の女性の心に潜むインモラルな悦びを巧みな構成で描く。最後の一文でそれを一気に表現する手腕がさすが。直接的な描写なく一作全体で官能を表現した皆川博子「柘榴」は超官能的だ。切なさを伴う官能作品は貫井徳郎「思慕」。規範も体裁も外聞も全て擲ち突っ走らせる魔力。エロスとは謎であり厄介な心の迷走なのだろう。2023/03/19
-
- 電子書籍
- 悪役令嬢がポンコツすぎて、王子と婚約破…