内容説明
本書は、日本ペンクラブ主催で行われた「作家が語る作家」という十二回にわたる講演会での講演を、多少の手直しを加えて、ほぼそのまま書物にしたものである。作家は自らが作品を書くことを任務としているので、過去の日本の作家をみるときも、自ら批評家や文学研究者とは違った目をもとう。おそらくそこに作家ならではのユニークな見方があり、また未来の文学の萌芽があろう。それで、現代を代表する作家にこういう題で講演をしてもらい、日本文学を振興させようと図ったのである。
目次
「猫」が小説を書いたのか―漱石の笑いとその消滅(梅原猛)
樋口一葉の恋愛(瀬戸内寂聴)
小栗風葉・戯作の復権(小中陽太郎)
中里介山・非情とユーモアの大長篇(加賀乙彦)
谷崎文学の勁さ(河野多恵子)
尾崎翠の感覚世界(加藤幸子)
川端康成と雑誌文化(猪瀬直樹)
堀辰雄・精神と土地(黒井千次)
中島敦・奇妙な味の短篇(阿刀田高)
名優・太宰治(井上ひさし)
立原正秋・日本と韓国の間(高井有一)
星新一とショートショート(眉村卓)