内容説明
1963年、九州炭坑町・田川―機関車は力強く蒸気をたちあげ、かつて復興の時代を支えていた炭坑町へと、少年をいざなう。少年・新一は、物持ちだったはずの父の突然の破産によって、東京を追われるようにはじき出された。見知らぬ土地で待ちかまえる、父のかつての戦友野上源一郎とその息子竹雄。哀しみに負けそうになりながらも、逞しく成長してゆく新一に、思いもよらない冒険のときが訪れる―。小説現代新人賞作家が、父を見つめ、少年の青春を高らかに謳いあげる成長物語。
著者等紹介
上野哲也[ウエノテツヤ]
1954年生まれ。福岡県出身。県立田川高校卒業後、上京、小説家を志す。1999年第67回小説現代新人賞受賞。「ニライカナイの空で」は著者初の書き下ろし長篇
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感想・レビュー
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ゆう
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昭和の少年たちを描く小説って、実にいいっ。 少年たちは、身軽で、単純で、熱くて、とにかくよく走っていて、日に焼けていて、爽やかで。 単純といっても、決して問題を抱えていないわけじゃなくて、それぞれに生活のこと、父親のこと、未来のこと、いろんな不安を抱えている。それにずぶずぶと引き込まれるではなくて、それでも、前に進んで成長していく姿が逞しくって、本来子供ってこういう強さを持ってるのだということを思い出させる。 情景という言葉がある。 心を映すかのような風景の描写がすんなりと入ってきて、必要以上に描写がし2011/05/24