内容説明
私たちが生きる社会は、困難に揺さぶられる男よりも、目をつぶって傷心のまま歩きつづける男をほめたたえる。感情豊かで脆い男を好まない伝統は生きつづけている。多くの男たちが、「意気地なし」の病気を恥じ、助けを求めることを拒んで自殺する。男性は女性の四倍も自殺する率が高いのである。
目次
男の隠れたうつ病
ナルシスの息子たち
抜け殻の男たち
トラウマの生理学
不朽の「男文化」
失われた絆
能力主義の悲劇
心にひそむふたりの子供
子供への贈り物
癒しへの道―荒れ地を抜けて〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うちこ
1
この本はアメリカ発だけど、よくある研究を重ねた結果だけの心理学本ではなく、ひとつの元素として心をとらえていく粒度がある点で、東洋的な要素も多いです。 ずっしりくるのは「セラピーの実録部分」。日本にもこういうのが必要だと思うけど、アメリカとはまた別の恥の概念を持つ国なので、方法はむずかしいだろうなと思います。 でもこのむずかしさを知ったうえで生きていくのとそうでないのとでは、だいぶん違う気がします。2013/08/18
つんどく
0
なぜ男は弱みを見せることができないのか。競争社会において弱みを見せることで服従されることを恐れているのだ。それは妻に対しても同じだ。他人と深い人間関係を築くには弱みを見せ合うことが必要だが男にはそれが出来ない。最後の結論は与えることが人間に幸福感をもたらす、ということが述べられている。競争社会ではつい、「何が得られるのか」考えてしまうが「何を与えられるか」を自問したとき人は幸福感を感じ、自分に対する無力感も薄らぐのだ。2022/02/19