内容説明
数百年の時を隔てて、幻と現つ、ふたつの芝居の国の間に、束の間、回廊が開かれ、きらびやかに、冷ややかに、精霊たちの宴が繰り広げられる。赤江瀑の修羅と艶。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじみどり
14
冒頭の闇の底深さ面妖さ加減からして生半な若輩の者とは格を異にするようで期待が膨らむ。読み進むうちにこれがぽっかりと異界に浮かぶ江戸の芝居小屋を舞台にしており、なぜだか馴染みのない歌舞伎の言葉遣いもさほど読みにくいとは感じず、それでいてこういう感じを粋といったのだろうかなどとわかったような気になれもして愉快だった。著者が男性と知ってさらに面妖さが増す……。2012/03/30
八子@ちょっと復活
11
どことも知れぬ異界の舞台。歌舞伎の口調は見慣れないが、すらすら読めた。とても美しい情景が頭に浮かぶ、贅沢な読書だった。良かった!2013/01/31
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
6
☆×4.0…ページ数は短いものの、決してそのページ数の「薄さ」を感じさせない素敵な作品であります。もっともっと、この非現実の世界に浸っていたいぐらいです。異形の世界に迷い込んだものとそこに存在するものたち。決してありえることではないのだけれども、まるでその場面を見ているような錯覚を覚えてしまうのは著者の文章力があるからでしょう。決して有名ではないものの、読んでいて損はない作家です。しかし、二の太夫にちょっとほれてしまいましたね。毒舌なもののお茶目なところがありますし。2012/03/13
あおさわ
5
いろいろな形の執念を垣間見る作品です。舞台を想像するのが難しかったですが入り込むと濃い陶酔がありますね。赤江先生久々でしたがやっぱり好きです。2011/06/16
kinaba
4
☆ 地獄の闇の底の煌びやかさ、そんな類いの絵的なシーンをひたすら言葉で綴る綴る。賑やかで眩しい風景、ただし背景はすべて真黒、みたいなの。とてもよかった。赤江瀑はじめてでしたがこれは読めるもの全部読もう。2012/11/01
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