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内容説明
人間と、人間が作る組織の危うさをえぐる。羽田事故、そして御巣鷹山事故…。悲惨な事故が残した教訓を「無」にしないために、元事故処理担当者の「安全」への痛憤の叫び。
目次
第4章 責任の所在はどこに…(機長はどこにいるんだ;重苦しい会議の始まり;「何から何までおかしいじゃないか」 ほか)
第5章 乗員健康管理体制の再構築(航空身体検査証明制度の「改革」?;医学には全く門外漢だったが…;「日本航空は冷たい会社だ」 ほか)
第6章 安全意識の崩壊(新入社員に生じた問題;安全問題を軽んじる「経営判断」とは?;安全問題か、労務問題か ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
30
「実際に事故処理に関わりながら、「もう航空事故はまっぴらだ」と叫び続けていた。本書を書きながらも、同じ叫び声が頭の中に響き渡っている」という、著者の言葉が刺さります。機長に精神疾患がありながらそれを誰も止めることができなかった羽田沖墜落、そして、尻もち事故の修理を全てボーイング任せにし、自分たちで確認することのなかった御巣鷹での墜落。これ以上の犠牲者を出さないようにするために、航空会社が何をしなければならないのか、よく考える必要があると思います。2015/09/17
ふたば@気合いは、心を込めて準備中
4
下巻になると一転、自分vs会社の様相を呈してくる。事故調にも、日航本体にも、手のひらを返したように苦言を吐き、日本は。。。と海外礼賛になる(一時、アメリカでの生活があったためか?)親方日の丸と言われた日航が日本の航空事業をほぼ一社で担っていたことはわかる。運航数も、運送料も他を圧倒していたこともわかるが、事故の多さも他をぶっちぎっている会社の、事故対応担当者とは思えない、自画自賛にも感じて、正直いい印象を持てなかった。ここはなかなか良い事言ってる!!という部分もあるのに残念である。2019/10/23
アルパカくん
2
羽田沖事故の事故調査結果が恐ろしかった。安全第一を考えたら見過ごせないはずなのに、なぜ見過ごされてしまったのだろうと。しかもその後にも続く日本航空内の乗員同士の庇いあい体質の部分を読むと航空機に乗ることが怖くなりました。しかし産業医の選択から何から大きな組織というのは難しいものですね。ある程度の地位に就きながら残念な価値観を持つ人が度々登場するので読んでいてガックリです。現実だったのでしょうけれど。2015/03/29
sin1row
1
事故には原因がありそれを究明することにより、今後事故が起こらないようにする。当然のようだか日本では事故が起こると原因究明より犯人捜しに焦点があてられる。責任の所在も大事なのだが、それにより今後の安全が本当に確保されるのか。著者は多くの航空事故処理にあたり、犯人捜しではなく、この教訓を生かして多くの人の今後の安全をと切に感じていました。欧米ではできていることなのに国民性なのか犯人捜しに徹してしまう。航空事故に限らずすべての事故に関していえるのではないでしょうか。何が一番大事なのかを考えさせられました。2014/05/31