内容説明
中野重治、椎名麟三、吉本隆明、福本和夫、萩原朔太郎…内部の論理を社会の現実と拮抗させうる場所はどこにあるか。期待の俊英の長編評論。
目次
1 転形期の思考(「いやしさ」とユマニスム;日米開戦前夜のブリューゲル;茂吉ノオト九 後半のこと;寛治と広重;卑しさというエレメント;ユーモアの位置―ペシミストとコミュニスト)
2 詩の「場所」をめぐって(蕪村詩のモダニティ;吉本隆明と詩の「論理」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hitotoseno
11
中野重治が転向後直面した、卑しくとも生きる、という問題をテクストを読み込みながら、様々な人物たちと絡めつつ解き明かしていく。中野重治というアルシーヴの元に集結する人物たち、とでもいえばいいか、渡辺一夫、ブリューゲル、野間宏、安田與重郎、前田寛治、坂口安吾、石原吉郎、椎名麟三などに通底する基調音を聞きとりつつ、結果中野読解につなげていく手際は鮮やかだ。本文中の言葉を借りれば、批評はこうでなくちゃならぬ! と強く言いたくなるお手本のような書物である。2017/02/11
罵q
1
中野重治の「卑しさというエレメント」を論じた表題作に詩論2篇を加えた物。特に石原吉郎論で描かれた石原吉郎/鹿野武一の絶対性にユーモアを対置する戦略が特に印象に残った。
mori-ful
1
「蕪村詩のモダニティ」(98)、「吉本隆明と詩の「論理」」(99)を再読。「書くことの起源には、母語で語られることを文に書こうとしても外国語で書くほかないというチグハグな違和がある」。あとがきによると、もともと福本和夫論を書くつもりだったとか。2016/02/13
bestkkk
1
要再読(とすべての人に)2012/10/24
-
- 和書
- 公益学のすすめ