感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
164
夢枕さんにこのような本があることをはじめて知りました。絵本のジャンルなのでしょうね。結構内容的には子供用というよりは大人向きなのでしょうが、絵を見ているだけで気持ちが和みます。私はサンテックの星の王子様を思い出してしまいました。なんどか読み直したい本の1冊です。2016/05/22
(C17H26O4)
91
カザフ族の少年の見上げる果てしない宇宙に、大きくゆったりと静かに流れる時間。「時間ていうのもね、物質を入れるための器なんだよ」感じて余韻にひたる。老物理学者アルベルトとの禅問答のような豊かな対話の前にも後にも、ただ変わらぬ真理。「この宇宙は、いったい、何でできているのかな」「この宇宙はね、羊と、羊じゃないものからできているんだよ」宇宙を数式よりも美しく解釈するやり方の名前は、羊の理論。2019/09/26
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
91
広い草原でアメリカ人の老物理学者と中国人の少年が議論をしています。物理学者は昔、世界を変えたことがあります。でも彼は、少年の言葉に真剣に耳を傾けます。「速くなることは、時間が余ることじゃなく、もっと忙しくなるということなんだ」と少年は説きます。「なぜなら人は、余った時間に働いてしまうから」。「物質とは」「時間とは」と話題は広がって、物理学者の頭に新しいアイデアが浮かびます。数式を一切使わず宇宙の真理を解き明かす理論を老アルベルトは「羊の理論」と名づけたのです。夢枕漠×たむらしげるのコンビに幻惑されました。2015/09/04
Natsuki
70
宇宙の話をしようヽ(´▽`)/ ごめんなさい、「E=mc2」を「口の中で転がして」も、「甘くて、優しい響き」を感じることはできませんでしたw(>_<")w。なのに不思議、宇宙をめぐる老物理学者と少年の対話に耳と目を傾けるうちに高まるわくわく感♪「羊の理論」で解き明かす宇宙かぁ~夢があるなぁ(*´∇`*)ラストに明かされる老物理学者の正体にもやられました(笑)たむらしげるさんの絵が目当てでしたが、思いがけず夢枕獏さん初読みと相成りました☆彡2016/05/04
紅香
43
『数式をいっさい使わずに、この宇宙を数字よりも美しく解釈するやり方がありそうなんだ』老物理学者が興味を抱いたのは羊飼いの少年が持つ宇宙観。その素朴な言葉を読んでるうちに私という存在がなくなる。色即是空…。ここにいるのに心は宇宙を見てる。不思議な感覚。少年の言葉は見えなくなったものをあらわにするスイッチのよう。何かが溢れだし、ないのに何だか満たされる。。こんな風にゆっくりとした時の流れが文脈からこぼれ落ち、心がシーンと鎮まる。情報でもつれ、疲れてる頭の中がシンプルになりすっきりする。私は時間。時間は私……。2016/02/01