出版社内容情報
妖精の存在を信じる少女たちのファンタジータラの丘の墳墓の中で眠った夜、いとこが妖精王にさらわれる。グウェンはつれもどそうと、妖精伝説の地を追う。スリルとロマンスに満ちたアイルランドの物語。 中学・高校
内容説明
そなたの答えがノーでも、彼女の答えはイエスだ。わたしは〈人質の墳墓〉から花嫁を連れていく。フィンダファーを寝袋もろともさらいあげると、妖精王は塚山から去った。タラの丘の〈人質の墳墓〉でキャンプした夜、別の世界にあこがれるいとこ、フィンダファーが妖精王にさらわれる。翌朝からグウェンのいとこを連れもどす旅がはじまる。妖精たちとの絶妙な出会いに助けられながら。だがケルトのフェアリーランドは、グウェンにとっても魅力ある世界だった。カナダの青少年がその年、一番おもしろかった本を選ぶルース・シュワッツ賞の1994年度受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
95
ケルト神話が息づき、妖精のファンタジーを想起する―アイルランドは今もそうしたイメージに満ちたところだ。本書では存分にそうした物語を堪能できる。ただ、ここでの妖精は我々(少なくても私)がイメージするそれとは幾分その様相を異にする。つまり、時には亡霊のような存在であるからだ。そして、個々の土地と深い結びつきを持っている。ここに登場する「クロム・クルアク」は八岐大蛇を思わせるし、聖剣エクスカリバーは十拳剣に相通しそうだ。幾分残念なのは、物語の展開がロールプレイイング風なのとアメリカ(カナダだが)ばりの楽天性か。2013/08/21
さつき
74
読み始めから既視感を感じ思い出しましたが、ずっと前に読んだことがありました!細部はすっかり忘れていたので、また新鮮な気持ちで楽しみました。仲良しのいとこと探索の旅。塚山の中で野営。怖い物知らずな少女たちの行動にはドキドキします。妖精たちのパーティーにはお邪魔してみたいし、ご馳走を無視することは私にもできないだろうな…2019/10/24
ちはや@灯れ松明の火
61
ふたつの世界はかさなる。夜と朝がふれあう刻に、雨の通り過ぎたあとに、あまねく星を散らした天の下に。さざめく楽の音がささやく、いとしく響く名でいざなう。拒むか、応えるか、漆黒の夜に添う金の月にならんことを。時に削られ日々に覆われ姿を変えた大地を、いにしえととこしえを織り成したヴェールが包み、遥かに受け継がれていく記憶。月はやがて欠け落ち、生は死に依りて育まれると知る。夜の果てに潜む闇の淵、自ら選び勝ち取らんとした運命。永い旅の終わり、夜に取り残された月が漂う暁に風が詠う。ふたりの生きる道はかさなっている。 2015/06/04
たるき( ´ ▽ ` )ノ
60
装丁やタイトルがとても好みで、このシリーズが本棚にあることに満足してしまい、ずっと読んでいなかった(笑) とても素敵で魅力的なお話だった。きっとまた手に取りたくなると思う♪2015/06/18
たるき( ´ ▽ ` )ノ
46
本当に再読なのか・・・?読んだ記憶が全くない。妖精たちの世界と現実とが怪しく入り乱れ、読んでいるだけでクラクラしてくる。危険を孕んだ美しさに引きずられそうになりながらも、必死で立ち向かっていくグウェン。結末まで含めて、とても好きな作品。2022/11/20