内容説明
松平家総領・次郎三郎が故郷岡崎で初めて知った二代にわたる当主の横死の謎。ひとりの若武者がいかにして徳川三百年のしいずえの築きあげる“老獪な天下人”なったのか。
感想・レビュー
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星落秋風五丈原
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「最後の総領」との呼び名を見れば、この人で一族は絶えたのかと想像する向きもあろう。松平次郎三郎こそ、15代、265年間続く江戸幕府の初代将軍、徳川家康その人である。次郎三郎が元服を終えた15才の冬から春にかけての、ほんの短い間に起こったある出来事が、彼を狸に化けさせた。最後の感傷を振り払い、「運命とは己の手の届かぬ所で決められるのだ」という境地にたどり着いた次郎三郎が「駿河国と今川義元の向こう」を見据えた時、我々は彼がいずれ手にする天下を、その先に見る事ができる。2005/01/22