体温

体温

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  • サイズ B6判/ページ数 223p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784062055628
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

少年と少女の頃にかえって、2人が心を重ねるとき、男のやさしさと温みが、揺れ動く女の心にやすらぎを伝える。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

98
オトナの恋と愛を綴った四つの短篇集。読み終えて数時間過ぎたが、面白い恋愛小説を読んだ満足感と昂奮の余韻が、まだ消えずに残っています。表題作【体温】に強く魅かれました。結婚5年目、29歳の時に夫が死去。娘と平穏な日々を過ごす女・組子が主人公。肩の荷を下ろした組子の心境、「夫は嫌いではなかった…」と冷静な夫分析、組子の心情が淡々と描かれる。再婚を迫る亡夫の同僚との微妙な距離感、結婚しない関係の心地よさが、徐徐に恋情が深まっていく女の葛藤を巧みな筆致で綴られます。もう一度読み返したい佳作作品です。2019/09/04

モルク

76
大人の愛の4つの短編集。26も年の離れた元職場の上司俊夫との子を授かった組子は彼と結婚し、彼が30年も暮らす古い団地に越してきた。彼の別れた妻は精神を患い長いこと入院しているが、離婚しても彼は別れた妻を見捨てることができないという「やさしい男」。結婚五年目の29歳で夫と死別した率子は娘とともに暮らす。生活のため女子学生に間貸しし、また古家をアパートに建て替えるため亡夫の友人に頼っているうちに…心揺らぐ率子を描く「体温」がよかった。文章も心地よく多田さんの筆力が感じられた。2019/09/20

ぶんこ

39
読友さんの感想に惹かれて初読みの作家さん。4編全てが普通の男女の恋愛とはいえない、何かしら問題を抱えていて、主人公の女性たちの悩みがいじらしい。「やさしい男」の俊男さんが私の夫だったらと思うと辛いなぁ。「焚火」「オンドルのある家」は共感できるところが少なく、母という女が際立ってました。最後の「体温」は、率子さんが弱い人なのか強い人なのか迷うほど理解できず、消化不良な感じが残りました。文体は平穏で柔らかく好みでした。2019/09/19

りつこ

38
とても面白かった。それぞれの物語に出てくる男性が独特で「こういう時代もあったのね」では済まされない何かを感じるんだけど…うーん、うまく説明できない。そういう男性を許すでもなく受け入れる女性がまた独特で、彼女たちの感じ方や行動は明らかに自分とは異質なものなんだけど、そこに強さも弱さも透けて見えてなんだか揺さぶられる。何かとても生々しいものを見た気がするけど、それが全然不愉快でないというか、人間って面白いなぁと思う。他の作品も読んでみたい。2019/12/27

papapapapal

35
平成初期、およそ30年前に発表された4つの短編。すごく好み! どのお話も軽い不倫をテーマにしているが、全編ともに凛とした静けさや大人の落ち着きが漂う。第1話、精神を患った元妻が訪ねてくる家に暮らす組子の、揺れる思いや切なさを描いた『やさしい男』がかなり良かった。多田尋子さん、是非、他の作品も読んでみたい。2020/04/03

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