内容説明
簡潔で透明感のある文体が鮮やかに描く死を覚悟した者の崇高な姿。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lovemys
3
自分の生きてきた軌跡は自分にしか分からない。長年連れ添った夫婦でも、お互いに秘密にはあるし、言えないこともある。長年の友人でも全てを知っている訳でも許せている訳でもなく、どうして付き合っているのかも分からず、秘密を共有している訳でもない。親子だからって仲いい訳でもなければ、愛しているからと言って秘密が無いわけでもない。結局、人は孤独であり、全てを分かち合える相手なんて存在しないんだね。何とも哲学的。人と関わりながら自立して生きるって難しい。満潮に身を委ねるマチルダの気持ちが分からなくもないので切ない。2020/12/01
-
- 和書
- 奪還 集英社文庫