内容説明
未知の空間、会社という迷路をさまよう主人公を、さわやかに魅力的に描いた表題作。芥川賞候補作「パパの伝説」収録。芥川賞候補作品2篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
miki
2
「さして…」は面白く読めた。日常の中に落とし穴のように隠れる罠が好き。「パパの伝説」では、形成される人間関係がすべて謀略と嫌疑からなっている、人は他者の存在で自己をもつというようなことを考えた。2012/11/01
hirayama46
0
表題作はあるサラリーマンの重要でないのはわかるのだけど、ではその一日にどういう意味があったのか、と言われるとよくわからない、そんな生活を淡々と描いた作品。なにが面白い、という説明は難しいのですが、たいへん心惹かれるものがありました。サラリーマン小説は苦手なのですが、伊井直行の筆致で読むと抵抗がありませんでした。不思議ですね。/併録の「パパの伝説」はのどかだったり謀略的だったりな豪家を中心に田舎の日々を描いております。こちらのほうが物語性が強いですが、やはり独特の雰囲気は健在で良かったです。2015/06/02
Kongo-maru
0
ソルジェニーツインの「イワンデニソビッチの一日」は政治囚のとても重い日常を描いたものだが、本作は言ってみれば、我々のとても軽い日常を描いたもの。主人公は失敗した資料を修正するためコピー機を探して会社中を右往左往する。これは日常の一コマだ。作家は、行動を細かに分解することで、資料を修正するという主人公の大目的と行動を分断してしまう。我々読む者は、目的と切り離された行動におかしみを覚える。中々、面白い仕組み。たまには、このような目で自分の行動を見た方が、精神衛生上は良いかもしれない。2010/07/01
アイゼンハワー
0
G42021/08/23




