内容説明
イブン・スィーナーはイスラームの知的世界、なかでもイランにおいて、「第一の統領」シェィフ・ッ・ライース(Shaikh ar‐ra’is)と称えられるほどに重要な人物である。彼の業績の一つ、たとえば医学的活動の集大成として多忙の合い間に纏められた『医学典範』は、イラン医学、イスラーム医学の金字塔的著作であると同時に、12世紀末にはラテン語に翻訳されて以後3~4世紀にも互りヨーロッパ各地の大学医学部で、定本的教科書として用いられたのであった。
目次
オリエント的グノーシスの相貌―イブン・スィーナー登場(文化文明の収縮拡散;グノーシスの光あれ;Sino‐iranica;バランス感覚の妙)
放浪の知識人―イブン・スィーナーの人・生涯・作品(オクソス河を越えて;宮廷から宮廷へ;アリストテレスに倣いて)
医と哲学と―身心の癒し手(第1類 医哲学の構図―医史学的観点から;バランス医学の妙;病のモルフォロジー;身心医学の地平;第2類 『医学典範』点描)
知の形而上学(人間の魂とその知的本質;普遍論の構図;宇宙的叡知の神学と人間学)
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