首塚の上のアドバルーン

首塚の上のアドバルーン

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  • サイズ B6判/ページ数 219p/高さ 21X14cm
  • 商品コード 9784062041263
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

巨大なコンクリート団地のそばにポツンと残された小山が、実は首塚であり、偶然にも滝口入道、「平家物語」へと話は進展し、作者自身の大病から首塚の主・馬加康胤と地名の由来となる痛快な物語。

目次

ピラミッドトーク
黄色い箱
変化する風景
『滝口入道』異聞
『平家』の首
分身
首塚の上のアドバルーン

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マサキ

9
80年代、幕張のマンションから眺める首塚を巡る連作短編。ちょっとどこまで行くの!は名作「挟み撃ち」と共通。埋め立てのイメージしかない幕張、クレーの建造中のL広場、モンドリアンのコンポジション、ブロードウェイブギウギ。ここまでならちょっと小難しい都市論。そこから、平家物語に太平記、果てはよく分からない千葉氏の文献へ。そして奇跡的につながる自らの手術。物語の中の物語。虚構が作り上げる虚構。自らの人生もその虚構のリアルにいつの間にか飲み込まれる。アドバルーンは皮肉より、むしろ存在の祝福に思えた。2020/04/19

misui

7
住まいの近所に見つけた首塚をめぐる、平家物語や太平記などのテクストからテクストへの彷徨。ほんの些細なモノへの注目で迷宮を見出し、道筋をたどることで迷宮の露頭である現在へと至る。そこにはピラミッド型の一個の時計がある。読んでいる間はさほどでもないが我に返れば世界が別の意味を持ちはじめるような、いたるところに迷宮があることに気づかせてくれる、そんな小説だった。細部の謎めいたほのめかしが絶妙、引用を除けばさっぱりした文章もいい。これはうまいなあ。2011/09/28

たなしん

6
いきなり書簡体になるとかなめんなよとも思いつつこれ小説書いてる最中の頭の働きを極端な形でぶちまけたものなんじゃないかとも。話が飛ぶ飛ぶ。といっても『挟み撃ち』みたいに無理がありそうなところ力技で強引に行くんじゃなくて、自然な形でどこまでも掘り下げる(というか好き勝手に漂流する)。首塚からどこまで行けますかって縛りのゲームでもあるようだし、凄くスマートなんだけどスマート過ぎて「何でそうなるんだよ」っていう笑いの起爆剤が無いのがちょっと寂しいなとも思った。うへえと思える人はどっぷりハマるんじゃないかと。2012/07/21

2
アミダクジ式(遍歴)って言うのがどうやらキーワードっぽい。いまこの話をしているのは偶然ですよ、ってことを再三強調するけど少々あざとい。実際作者が全体の構想を持って書こうが偶然を頼りに書こうが読者からしたらどうでも良いのではないかと思うわけで。偶然性を気にするならどちらかと言えば「なぜ私は読者であってあなたは作者なのか」という偶然性の方が不思議な気もする。2015/02/06

うんとこしょ

1
「記録としての『過去』の微妙なズレは、憑依状態になった筆写する人間の、密かな快楽の結果なのかも知れません。」(p191)2016/06/15

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