内容説明
有馬山猪名の笹原かぜ吹けばいでそよ人を忘れやはする―「百人一首」58番の歌で作者は大弐三位、これが紫武部の娘―賢子である。和泉式部、赤染衛門、清少納言など絢爛たる平安女流文学の時代を、大流行作家を母にどう生きたのだろうか。中堅女房の宮仕えの日常を初めて描く注目の長篇小説。
感想・レビュー
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Pon&Aki
1
波乱万丈です~!紫式部の人生や心境が丁寧に描かれていて、苦悩や哀しみを背負いつつ物語を完成させるのに胸を打たれました。賢子は流れに抗わず地道に勤めを果たす中で、家族、恋人、同僚やお仕えする方との出会いと別れを重ねます。人生を重ね若く無くなってからようやく頼宗と想いが通じる場面と、赤ちゃんの頃から養育した後冷泉天皇が亡くなられてしまう場面が最も心に残りました。描写が細やかで、邸や庭、当時を生きる人々の日常、主人公が肌で感じる感覚までリアル。賢子が最期まで守った後冷泉天皇日記は散逸してしまったそうで、残念です2021/12/14
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