内容説明
私が本書で取り組もうとしている活力研究の問題意識は、次のようなものである。1970年代前半の石油危機以後、先進工業諸国は産業構造の転換、企業経営の体質改善、新たな技術革新の必要に迫られた。そして、これらの課題への対応の優劣が、そのまま各国の経済力の格差となって現われた。日本の対応が相対的に優等生であったことは、しばしば指摘されてきた通りである。とりわけ1980年代に入ってからの一大転換期における日本企業の活力の特質を明らかにすることは、時代の記録としても、また21世紀に向けての持続的発展の条件を考えるうえでも、有効であるように思われる。このような視点からの活力のとらえ方は、さらに日本企業と米企業の基本的特質を比較する方法としても有効であるに違いない。
目次
1 転換の決断とプロセス(松下電器・山下俊彦副社長;日立製作所・三田勝茂社長;ファナック・稲葉清右衛門社長)
2 不死鳥〔フェニックス〕の条件(東レ・伊藤昌寿社長;新日本製鉄・武田豊社長;三菱重工業・飯田庸太郎社長)
3 世界企業への疾風怒濤(本田技研工業;日産自動車;トヨタ自動車;マツダ;三菱自動車工業;富士重工業&いすゞ自動車;日本電気;富士通;松下電器;三菱電機;日本ビクター)
4 自己革新のリーダーシップ(京セラ 稲盛和夫会長・安城欽寿社長;日本電気 小林宏治会長・関本忠弘社長;住友銀行 磯田一郎会長・小松康頭取;電通 木暮剛平社長;鹿島建設 石川六郎会長;旭化成工業 宮崎輝会長;トヨタ自動車 豊田章一郎社長;日産自動車 石原俊会長・久米豊社長)