虚懐

  • ポイントキャンペーン

虚懐

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 330p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062003643
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

15
藤枝静男晩年の小説集。聞くところによると、最晩年の藤枝は脳軟化によるアルツハイマーを発症していたそうで、そのせいなのかどうかは知らないが、基本的に同じ話を何度もする。自分の家の庭の話などは、またかと思うほど飽きずに繰り返すので、おじいちゃん、その話はさっきもしたでしょ!となる。しかしその文章はおそろしく明晰で、一点の濁りもない。特に動植物の営みを活写する筆法などは、さすが志賀直哉門下の面目躍如といった格好だが、いったいこの人は、これを書いていた段階で、どのような境涯にあったのか、まるで想像もつかない(続)2016/01/13

フリウリ

6
「みな生きもの みな死にもの」「ゼンマイ人間」「やっぱり駄目」「二ㇵ二」「みんな泡」「黒い石」「人間抜き」「虚壊」「またもや近火」の9篇を所収。「みな生きもの 死にもの」は志賀直哉、小島信夫、埴谷雄高に関する小説論から日常生活、追憶へと続く小説ですが、どんな人間、動物、昆虫、植物もみな、同じ生死を伴う存在として、等しく観察されているのがおもしろい。他の小説にあっても、自然物であれ人工物であれ、分け隔てなく虚心に接する藤枝静男の態様には迫力があり、すばらしいと思います。1982年刊。国会図書館デジタル。92025/01/19

a43

4
藤枝さん初よみ。 これはエッセイではなく小説です。 最後の二篇にあるように家の四方が家事になった、というのは私小説というジャンルに作者が選ばれてるような気がした。 退屈なようで、何故か嫌いではないのはなぜだ。2014/02/01

モンタ

2
Amazonの古本が安かったので購入した。実質的に藤枝の最後の完成された作品集。この作品集に関して言えば、欣求浄土や悲しいだけに見られた身辺雑記が極まっている。物語らしい物語はない。しかし志賀直哉の「城崎にて」のように、切実な語り手の心境が時折挟まれる。文章は相変わらず硬質で鋭い。細かなディテールの描き方も見事で、物語や盛り上がりがなくても、読み進めるのに退屈はしなかった。同じ話が繰り返し出るのも、何かヌーヴォーロマンの作品のような気さえした。

hirayama46

2
老境に入った藤枝静男の短編集。特有の淡々とした雰囲気は枯淡と言っても良い領域でありました。おそらく基本的には私小説なのでしょうが、「またもや近火」における自分の家の周りだけが火事になるというのは出来すぎな気がしますし、歳をとり孤独になった自分の内面表現なのかな、とも想像しました。あくまでも私小説がどこまで現実かは作者のみぞ知る、なのです。/しかし、相変わらず素敵なタイトルセンスです。「ゼンマイ人間」「やっぱり駄目」「みんな泡」「またもや近火」など。列挙しただけでときめきます。2015/08/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/658943
  • ご注意事項

最近チェックした商品