内容説明
小林秀雄とともにわが国の近代文芸批評を文学として確立させた河上徹太郎。「純粋」という観念に憑かれた一青年は、中原中也、また青山二郎らとの深い交流のなかで精神の自己形成を図った。音楽を愛し、ヴェルレーヌ、ジッド、ヴァレリーらフランス象徴主義の思考により、エピキュリアンにしてストイックな精神性を身につけた、日本文学最高のアマトゥールによる自伝的連作エッセイ十一篇。
目次
詩人との邂逅
神への接近
友情と人嫌い
シェストフ的不安
私のピアノ修業
わが楽歴
フランクとマラルメ
若い知性の抒情
認識の詩人
ロンドンの憂鬱
詩と人生の循環
著者等紹介
河上徹太郎[カワカミテツタロウ]
1902.1.8‐1980.9.22。文芸評論家。長崎県生まれ。本籍地は山口県岩国市。河上家は代々、吉川藩士であった。1926年東京帝国大学経済学部卒。東京府立一中時代から小林秀雄と親交。中原中也を知る。ヴァレリーやジッドを翻訳紹介し、フランス象徴主義の影響下に評論活動を展開、「自然人と純粋人」で批評原理を確立した。エッセイも多数。62年芸術院会員、72年文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hf
2
「詩人との邂逅」から「私のピアノ修行」まで、読みました。小林秀雄と中原中也の話とか。富永太郎は重要なんだなあ。この読書により、樋口覚『三人の跫音―大岡昇平・富永太郎・中原中也』 (五柳叢書, 1994)が浮上してきた。29, “私は、ヴェルレーヌに惹かれた中原中也に更に惹かれることによって、カトリシズムに関心を持つようになった”あとジッドの話。「友情と人嫌い」では小林秀雄の小説では志賀直哉の影響が支配していることが説明される。嫌人主義。小林が関西(天王寺)にいた頃に河上に寄越した短いが甚だ印象的なはがき。2023/12/04
garnet_05
1
日本の近代文芸批評開拓の一翼を担った河上徹太郎のエッセイ。クラシックやフランス文学に関する文章が多い。他にシェストフ論や、著者のピアノ修行についてなど。全11編。2013/05/06
OHKINA
0
こういうエッセイを読むと作者がどういう人なのかが想像できて面白い。主張を読み取ることも大事だけれど疲れるし。とりあえず河上さんは「くそまじめな母ちゃん」という印象。2011/05/24
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- ラフォルグ抄 講談社文芸文庫