出版社内容情報
恋愛に基づく結婚からも聖なる母性像からも自由な80年代の新しい女性像を刻んだ先駆的作品。太陽に向かう植物のように子を育む女の命の輝き
21歳の多喜子は誰にも祝福されない子を産み、全身全霊で慈しむ。罵声を浴びせる両親に背を向け、子を保育園に預けて働きながら1人で育てる決心をする。そしてある男への心身ともに燃え上がる片恋――。保育園の育児日誌を随所に挿入する日常に即したリアリズムと、山を疾走する太古の女を幻視する奔放な詩的イメージが谺し合う中に、野性的で自由な女性像が呈示される著者の初期野心作。
星野智幸
私は、多喜子のような母親を持った晶は幸せである、と思う。なぜなら、今の若い世代が内側に抱えこんでいる空虚さを、多喜子自身がすでに25年以上も前に持っていて、それを乗り越えようと格闘したからである。(略)子どもは、上の世代を見て育つ。親を見て、教師を見て、上司を見て、生き方の選択肢を広げていく。現代に晶がもっとたくさんいたら、と私は夢想する。家族のあり方は何倍も豊かでありえたのではないだろうか。――<「解説」より>
真夏
森
泣き声
道
冬
若葉
山
顔
著者から読者へ
津島 佑子[ツシマ ユウコ]
著・文・その他
星野 智幸[ホシノ トモユキ]
解説
内容説明
二一歳の多喜子は誰にも祝福されない子を産み、全身全霊で慈しむ。罵声を浴びせる両親に背を向け、子を保育園に預けて働きながら一人で育てる決心をする。そしてある男への心身ともに燃え上がる片恋―。保育園の育児日誌を随所に挿入する日常に即したリアリズムと、山を疾走する太古の女を幻視する奔放な詩的イメージが谺し合う中に、野性的で自由な女性像が呈示される著者の初期野心作。
著者等紹介
津島佑子[ツシマユウコ]
1947・3・30~。小説家。東京生まれ。白百合女子大学英文科卒。在学中より「文芸首都」同人となり習作。二十代で短篇が相次いで芥川賞候補になる。以後、1976年、『葎の母』で田村俊子賞、77年、『草の臥所』で泉鏡花文学賞、78年、『寵児』で女流文学賞、83年、「黙市」で川端康成文学賞、87年、『夜の光に追われて』で読売文学賞、98年、『火の山―山猿記』で谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、2002年、『笑いオオカミ』で大佛次郎賞等、文学賞を多数受賞。口承文芸や古典文学に関する仕事も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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燃えつきた棒
yumiha
まあちゃん
66 (Audible オーディブル毎日聴いてます)
sabosashi