内容説明
九州柳河の豪商の子として生い立ち、乳母日傘の幼い日々の性の目覚めを鮮烈に歌う『思ひ出』。文学を志し上京、詩壇の寵児となった青年の才気と野心が眩しい『邪宗門』。人妻との姦通で告訴され「三八七番」という囚人の身となる二十代後半の痛切な恋愛体験に基づく歌集『桐の花』―など。初期の詩と歌に、詩的散文「わが生ひ立ち」はじめ珠玉の随筆を加え、生命感沸き立つ青春像を浮き彫りにする。
目次
第1部 『邪宗門』とその周辺(魔睡より;朱の伴奏より;天草雅歌より ほか)
第2部 『思ひ出』とその周辺(骨牌の女王より;断章六十一より;過ぎし日より ほか)
第3部 『桐の花』とその周辺(銀笛哀慕調より;薄明の時より;春を待つ間より ほか)
著者等紹介
北原白秋[キタハラハクシュウ]
1885年(明治18年)生まれ。1902年(明治35年)10月、投稿短歌の一首が『文庫』に掲載。1904年(明治37年)4月、早稲田大学英文科予科に入学。1905年(明治38年)1月、『早稲田学報』の懸賞詩に一位当選した長篇詩「全都覚醒賦」が『文庫』に転載され、詩壇から注目。1909年(明治42年)1月、『スバル』創刊号に「邪宗門新派体」七篇を発表し、以後同誌を代表する詩人として活躍。3月、初の詩集『邪宗門』を易風社より刊行。1913年(大正2年)1月、第一歌集『桐の花』を東雲堂書店より刊行。1918年(大正7年)7月、鈴木三重吉の『赤い鳥』創刊に協力。1941年(昭和16年)5月、芸術院会員に選出。1942年(昭和17年)11月2日死去
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