内容説明
大正十二年七月、郷里山形の実父が世を去った。滞欧の茂吉はその死を知り悲しみにおそわれる。幼少の頃の父に纏わる様々が哀調を帯びて湧き上る。想い出の一つ一つを念珠の玉のように連らね、父を悼み懐かしむという意向で記された表題作「念珠集」をはじめ、「アララギ」同門・島木赤彦の終焉を克明に描写した「島木赤彦臨終記」、小品「山峡小記」「長崎追憶」など三十五篇を収めた第一随筆集。
目次
島木赤彦臨終記
念珠集(八十吉;痰;新道;仁兵衛。スペクトラ;漆瘡 ほか)
小品集(仏法僧鳥;仏法僧鳥の弁;遍路;山峡小記;続山峡小記 ほか)
著者等紹介
斎藤茂吉[サイトウモキチ]
1882年(明治15年)生まれ。1902年(明治35年)9月、第一高等学校第三部に入学。1903年(明治36年)神田和泉町に帝国脳病院を設立し、8月、赤坂青山南町に青山脳病院を設立する、1905年(明治38年)9月、東京帝国大学医科大学に入学。1906年(明治39年)2月、短歌五首が伊藤左千夫編集「馬酔木」に掲載。1910年(明治43年)12月、東京帝国大学医科大学医学科を卒業。1927年(昭和2年)4月、青山脳病院長に就任。1937年(昭和12年)6月、帝国芸術院会員となる。1950年(昭和25年)5月、『ともしび』により第一回読売文学賞を受ける。1952年(昭和27年)11月、文化功労年金受賞者となる。1953年(昭和28年)死去
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感想・レビュー
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アメヲトコ
3
歌人斎藤茂吉の随筆集。父を偲んだ「念珠集」は明治期の出羽上山の風景を活き活きと描き出していてしみじみします。後半の「小品集」は文字どおり小品の寄せ集めという感じであまりまとまりはありませんが、巌流島での宮本武蔵を卑怯者とディスりまくった一文などは我が意を得たりと思いました。2016/12/24
AR読書記録
0
文学って,文学者って何だろうと考える.もちろんだけど,文章が書けるだけではない.誰もがふと見過ごしてしまうようなことにも目を留め,それをその人の言葉を使ってそっと差し出してくれる.それによって,見つける,感じる力をもたなかった我々の眼前に,思いもよらない豊饒な世界がわっと広がる.まるで魔法使いのようだ.なんてことを,読みながら考えました.汽車の窓から見た梟の子の話とかに,特に.2013/02/06
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