内容説明
文学の長い歴史のなかで成長を続けた小説ジャンルといえども、二十世紀になるとその地位がゆらぎ、あたかも生命体のごとくに老化衰退の様相を呈し始める。その間自伝ジャンルは「私」のイメージの拡大と共に目ざましい急成長をとげる。本書は、自伝ジャンルこそ二十世紀文学の中核的位置を占めるものであるという主張を基軸に執筆された著者畢生の自伝論である。芸術選奨受賞作。
目次
自伝の世紀―ジャンルとは何か
告白と想像力
奇妙な「私小説」
批評の栄光
『私小説論』再訪
主役としての官能性
象徴的ヒーローは、どこに
「二重生活」とは何か
自我崇拝の行方
政治的人間の彷徨:「理性の王者」の陥し穴:「私」の彼方
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- 和書
- 切断と義肢 (第2版)