内容説明
五十崎故郷、水原秋桜子に師事した若き日の想い出「古郷忌」、従軍中結核で死と向き合った日々を綴る「一冊の芭蕉全集」などを、想いの深い療養地の名で纏めた『清瀬村(抄)』。戦後焦土と化した江東を句集『雨覆』に読んだ著者が、その後の東京の下町、葛飾・亀戸・深川等の生命力溢れる春夏秋冬を俳句と散文で鮮やかに描き出した風物詩『江東歳時記』。“昭和俳壇の俊才”石田波郷の瑞々しい随想集。
目次
清瀬村(抄)(十薬の花;蜩;古郷忌;砂町ずまい ほか)
江東歳時記(太平町賛育会病院で;江戸川区宇喜田町で;亀戸普門院にて;水元小合新町都種苗圃で ほか)
感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
95
俳句と散文が一体となって、独特の詩情を作り出す石田波郷の随想集。「清瀬村」では主に戦前から戦中の思い出が語られる。「一冊の芭蕉全集」が良かった。軍役中に俳句仲間にめぐり会い、句会に参加したことが語られる。殺伐とした軍隊の中にもそのような救いがあったことが嬉しい。「江東歳時記」は素晴らしい読み物で、昭和30年代の下町の東京が鮮やかに蘇る。人々が慎ましく生きて、自然が残っていた首都の情景に強く惹きつけられて夢中でページをめくった。お気に入りの一句をご紹介。「暖簾割る夜寒の肩をつらねけり」2017/10/17
AR読書記録
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つるんと読めてしまって、いまいち印象に残るものがなかった...2014/08/14