内容説明
1880年モスクワに生まれたベールイはモスクワ大学理学部に入学するが、象徴主義や神秘主義に傾倒して世紀末から革命に至る時代をひたすら文学に没頭する。1916年に刊行されたこの『ペテルブルグ』は、幻影の都市ペテルブルグで繰り広げられる緊迫したテロを描き、ナボコフも『ユリシーズ』『変身』『失われた時を求めて』と共に、二十世紀初期を代表する傑作と絶讃した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イシザル
8
帝政ロシア時代に、赤いケープを纏う仮面をした道化は、共産党を表現してんだろう。赤い道化の登場の仕方は、ノーラン版のバットマンの登場の仕方と似てる。読書家のあの兄弟なら、読んで、映像に、取り入れてそう。と思う。ぐらい似てる。と思う。2020/04/01
井蛙
1
はるか古の時代、神は父たる〈時〉を弑殺することによって己が帝国を打ち立てた(父たる沈鬱な〈時〉はその腹から、永遠という名のどす黒い血を流した)。今、かちかちと人知れず時を刻むいわし缶の爆弾は、己もろともこの帝国が木っ端微塵に破壊される〈瞬間〉を待っている。人間と影と、人間でも影でもない者の街に、我らがテロリストは新たな王として君臨するだろう。しかし彼にはもはや自らの治世が永遠であることなど望むべくもない。彼は王権を放棄するためだけに王となるだろう、テロリズムとはあたかも〈無〉の戴冠式であるかのごとく。。。2020/07/08
刳森伸一
1
ペテルブルグで繰り広げられる陰謀。それに巻き込まれるように加担することとなったニコライとその標的であるニコライの父アポローン。実際に存在するペテルブルグが象徴的な言葉で幻想の都市に変わる。さて、下巻も読まねば。2013/11/25
nukuteomika
0
赤川次郎の「おやすみ,テディ・ベア」(爆弾を仕掛けられたテディ・ベアをめぐって物語が展開する連作短編集)のような話を予想していたが違った。込み入った群像劇で一回読んだだけではなかなかわからない2010/08/18
ふくろう
0
ナボコフが絶賛した作品。沼の上に立つ幻想の街、ペテルブルグ。2008/11/30