内容説明
十四世紀のヨーロッパを襲ったペストがフィレンツェにもたらした死の影の下で、ボッカッチョは完全な精神の自由を獲得し、過去のくびきから解き放たれて、十日十話、百篇からなる多種多様な物語を書き上げた。ルネサンスの息吹きを伝え、近世小説のさきがけとなった屈指の古典『デカメロン』を見事な日本語に移しかえた名訳。(第七日、第八日は省略)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
21
外ではペストが蔓延中なのに、テンション高めです。作中しばしば〝警句〟〝教訓〟など囁かれてはいますが、心に響く物語は、ありませんでした。というのも、話のほとんどはギャグだからです。しかもオチが微妙だったり、投げっぱなしだったり、一話終わるたびに、だから?それで?となります。歴史の教科書には必ず出てくる『デカメロン』ですが、中を開けてみると、明らかに現代の合コンです。お堅い内容と思って、アララ…といった感じでした。内容はともかく、「質より量!!」を体現したボッカッチョの執念が凄い。2016/12/20
ふくろう
7
内容はくだらない猥談だが、『デカメロン』が後世に与えた影響は大きい。イギリスの『カンタベリー物語』やシェイクスピア『シンベリン』などをはじめとし、多くの後続者が現れた。また、教皇やキリスト教の抑圧に押し込められる生活を逃れ、もっと人間らしく自由に生きたいとする活動、ルネサンスの嚆矢となった(金と女にまみれた教皇たち、地獄のペスト、十字軍の疲弊でさすがに我慢の限界だったのだろう)。『ヴィーナスの誕生』で有名なボッティチェリが描いた「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」4部作はすばらしいのでおすすめ。2014/07/02
うた
3
お説教くさい『神曲』とついつい笑いを誘われる『デカメロン』。各説話を照らし合わせながら考えると、けっこうつながりがあって面白いですよ。2010/12/10
Jiemon
2
字面ばかり追っているだけで中味が理解できてない話もあったが、印象に残る話は卑猥な話ばかり、紳士淑女の皆さんも猥談して楽しんでらっしゃったのでしょうか。この本はとてもダンテの神曲に比肩する作品とも思えないし、歴史的に意義のあるものとも思えない。2013/11/18
秋良
2
えーとつまり、卑猥なことも貞淑な言葉で書けばオッケーってことですか、あとがきに書いてあるのはそういうことですか。お前ら上品ぶってるけど好きなんだろ!?え、そうなんだろ!?っていう軽くキレ気味な作者の意思を感じるのは気のせい?2013/09/16