内容説明
“我々はみなゴーゴリの「外套」から出てきたのだ”とドストエフスキイが言ったと伝えられる名作「外套」、一人歩きを始めた逃げだした鼻を追うコバリョフ少佐を描いた「鼻」、長官令嬢に恋した下級役人が切々と記した、滑稽にして悲痛な「狂人日記」、魔女に魅入られたキエフの神学生が妖怪と戦う「ヴィイ」の四篇を新訳でおくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
9
◆後藤明生『挟み撃ち』から。表題作はもちろん、おもしろくてやがて悲しい妖怪譚「ヴィイ」も良かった。2016/11/12
atomos
6
「外套」「鼻」「狂人日記」「ヴィイ」を収録。ユーモアとペーソスっていうのかな。すごく面白かった。ちょくちょく作者が介入してきて皮肉をいうのが、笑えたなあ。2013/02/19
刳森伸一
4
ゴーゴリの代表的な短篇小説「外套」、「鼻」、「狂人日記」、「ヴィイ」を集めた短篇集。文句なしの傑作ばかりが並ぶ贅沢な本だと思う。どれか一作を選ぶとしたら、個人的には「鼻」で、そのユーモアと幻想風味は他に類を見ない面白さがある。2021/08/31
とん
3
ゴーゴリ『ヴィイ』. 怖い, 奇怪, ちょいファンタジ. ヴィイはウクライナの妖怪らしい. ゴーゴリの書く醜悪な世界とは一線を画す内容だなあ. これはそのまま奇っ怪な話と捉えてよいのかしら.2017/05/10
とまと
3
『ヴィイ』と解説目的で市立図書館で借りた。平井肇さん訳『外套』の“しかしかする”をどう訳しているかチェック。『鼻』と『狂人日記』は他訳で既読のため読み飛ばし。『外套』解説より「『語り』の文体を持ち、語呂合わせをはじめとする様々な言葉の手法を駆使した真の言語芸術の傑作」と書かれるとやっぱり原語で読みたくなる。『狂人日記』の解説により岩波版を読んだだけでは疑問として残っていた部分が少し解決された。大学受験レベルの世界史の記憶が既にない。文学を読むことで少しずつ思い出し記憶に定着できたらいいな。2012/07/16