内容説明
河東碧梧桐に俳句を学び、句作で鍛えた簡潔強靱な文体は、「手織木綿の如き」文章と芥川龍之介に評された。自己の身辺を凝視し、自然風景を鮮やかに描いた作品は、写生文の真骨頂とうたわれた。少年期の体験を記す「父」、結婚に至るまでの心情を活写する「結婚まで」のほか、「積雪」「大火の夜」「伐り禿山」「松島秋色」「野趣」の七篇。瀧井孝作傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
4
堀江⇒島村⇒瀧井と溯上してきました。ほのかに滲み出る温かさ・ユーモア感覚はやはり人柄なのでしょうか・・・それぞれのシーンに触れて、その簡易な文体がいたって時代色を薄め、人間の心情は今も昔も変わりはないと感じさせる気がします。やや鄙びた医院で手術を受け、退院するまでの「野趣」は、手術の様子、予後を描きながらも、八王子の自然風景、まわりの患者の様子、ハイヤーの中から眺める大雨の田舎道などを合わせて淡々と記し、その自然さに凄味を感じるほどでした。2014/07/21
eazy
2
文体が独特で心地よくなってくる。解説にあったが、これだけ客観・写生に徹した文章でどうしてこうもほのぼのおもしろいのか。70歳を越えた痔の手術話の「野趣」が実に新鮮で妙に可笑しい。2011/09/28
容原静
1
なんで買ったのか覚えていない。自分の文章にはない要素があり勉強になる。 『父』が面白い。自分を認められず、それでも生きていき関係を持って生まれた感情が書かれている。 後半は読むことをやめた。2019/09/17
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