内容説明
著者が出征に際し、遺書代りに書いたという「中世」は、二十五歳にして夭折した足利義尚を悼んでの父義政の嘆きとこの世ならぬ魂の招来を美文で綴る三島文学の美への基調を窺わせる。また、「剣」は剣道部員を主人公に、思想を鍛える如くに修練に励み、そして部員の裏切りにも自死を以て諫める知行合一的世界を展開、後年の死をも含めた作品群を暗示する。他に四篇収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんふぁ
4
剣は凛とした綺麗な張り詰めたような空気が気持ちよかった。他はよくわからなかった。2016/09/24
Kotaro Nagai
2
初期の短編、「中世」「夜の支度」「家族合せ」「宝石売買」「孝経」と1963年の短編「剣」を収録。「剣」は傑作でした。「剣」は市川雷蔵主演、三隅研次監督で映画化。こちらも鑑賞。雷蔵が原作の主人公そのままの演技で素晴らしい作品。2014/09/21
towerofthesun
1
三島が10代で物したとは思えぬ文章で描く王朝の落日「中世」、戦時下の軽井沢での許嫁たち「夜の支度」、戦後を生き抜く兄妹「家族合せ」、母の遺品を貴族崩れの青年に売る「宝石売買」、父子孫三代にわたる誤解「孝経」、剣道に打ち込む青年の姿「剣」。…「つまり良心は人は眠らせないが、罪は熟睡させるのである。」(「孝経」)…作者らしい人と人のすれ違いを意地悪く書いた短編集。しかし中世の文章の神経質で過剰なほどの煌びやかさには驚く。2024/08/29
一
1
52016/07/04
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1
自分に完璧をもとめる。それが周りに通じてないとさとった時、国分は自殺。自分だけいい格好しようとしたと見透かされるのがいやで、あえて嘘をついた壬生。後の三島の行動を暗示する。理解の範囲を越えている。かつて息子の中学受験の塾で問題にしているのをみたが、あらためて理解できるほうが怖い気が。2013/12/30