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内容説明
元弘3年(1333年)は、また正慶2年でもあった。敵味方によって年号が違うのも異常なら、後醍醐帝が隠岐に配流という現実も、尋常の世とはいえない。眇たる小島は風濤激化、俄然、政争の焦点となった。不死鳥の如き楠木正成は、またも天嶮の千早城に拠って、5万の軍勢を金縛りに悩ましつづけている。一方、去就を注目される足利高氏は、一族四千騎を率いて、不気味な西上を開始する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
79
後醍醐天皇が隠岐の島を脱出し、遂に高氏も三河で決意表明!宮方の三木一草・長年と伊予・河野党、そして高氏方での道誉の決起が、南北朝の幕開けという感。印象的なのが、『源家重代の白旗』。高氏が今一度示す、自身の本望の象徴。次に、阿新丸と小右京の関わりに垣間見る日野家との因縁の起点。一方、道誉vs.師直の婆娑羅対決も、読み応えあり。1回戦は師直完勝も、2回戦は道誉優勢勝ちかな。但し、道誉の懐の”深さ”は比ではない。その伊吹入道の生贄となった因縁は、跳ね返るべくして跳ね返るモノ也。2022/02/04
chantal(シャンタール)
75
四巻の主な話題は元弘の乱、後醍醐天皇は御所を脱出するが、あっさり捕らえられてしまう。勅により、いやいやながらも立ち上がった楠木正成も多勢に無勢、まずは身を隠す事となる。後醍醐天皇の隠岐の島への配流も決まり、次巻では隠岐での生活の話も出て来るのかなあ。やっと最後に登場した尊氏はなんだか女難の相が出ているよう。大丈夫か、尊氏!?2019/04/03
優希
67
話はどんどん動き出したようですね。壱岐を脱した後醍醐天皇、戦に出陣する楠木正成。謀反も起こるので物語が俄然面白くなってきました。高氏も不気味な西上を開始し、今後の歴史の動きに目が離せません。2019/01/17
ケロリーヌ@ベルばら同盟
51
少年の日の高氏の胸に楔となって撃ち込まれた祖父の置き文。その無念、悲願が愈々熟成され、決起の秋を迎える。隠岐に配流の後醍醐帝は、島を脱し、楠正成が守る千早城は難攻不落。幕府は諸将に総攻撃の命を下す。胸に大望を秘め上洛する高氏と、因縁の相手佐々木道誉との、初めて感情をを剝き出しに、激しく言葉をぶつけ合う場面が今巻の山場だろうか。南北朝の動乱、一つの国の皇統を巡っての対立は、貴顕はおろか、下々にまで骨肉の争いの悲劇をもたらす。正成の妻、後醍醐帝の寵妃、高氏の且ての愛人。女たちの闘い、生き様からも目を離せない。2019/05/11
金吾
39
○話が一気に動き出しています。この巻を読んでいて時流というのを強く感じます。北条氏としては後醍醐天皇を隠岐に配流した時点で安泰になったはずが、天皇の隠岐脱出や楠木正成の頑張りにより一気に流れが傾いていっているのが良く伝わりました。2021/01/18