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目次
吉岡清十郎と雌雄を決す―。武蔵の年来の宿望は、ここに実現の運びとなった。時、慶長10年正月9日。場所は京都・蓮台時野。もし武蔵が勝てば、その名声は一躍、京畿を圧するだろう。―武蔵は思いのままに戦って、勝利をおさめた。だが、彼の得たものは、心の虚しさでしかなかった。一方、蜂の巣を突いたような吉岡一門から、一門きっての暴れん坊、吉岡伝七郎が鎌首をもたげてきた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪風のねこ@(=´ω`=)
115
武蔵の剣は着実に成長しつつある。吉岡清十郎も難なく倒した。(寧ろ清十郎が剣士として向いていなかったと言えるが、末弟を宥め道場を残そうとする心根は流石である。命を拾った甲斐もあった)しかし宍戸梅軒の妻の子守歌に母を想い、母の自分に対する思いは幾ばくであったか、必死に懐古する様がなんとも人間らしく、成長を促しているのだなと感じる。一方、猛烈ストーカーお杉のパワーはどこから生まれるのか。これも修験者と思わせる。そしてその息子の又八。同じ小次郎をみて、心証が武蔵のそれと全く違うのはやはり性根なんだろうなぁ。2018/05/16
優希
75
武蔵よりも脇役の人々が目立っているように感じました。それぞれが何かしらの形で武蔵とすれ違いつつ関わっていく。一方で武蔵の剣は成長し、清十郎との戦いへと導かれます。勝利をおさめたものの、虚無感を感じたのは何故だろうとしか思えません。そして又八と小次郎の出会い。色々詰まっていました。2019/01/09
k5
70
火の巻を読了。佐々木小次郎が物干し竿を下げて本格登場したり、宍戸梅軒の鎖鎌があったりとバトルものっぽくなって来ました。しかしなんと言ってもハイライトは婆の「含み針」でしょう。なんなの、この人? 忍者なの? 剣豪たちを凌駕する武蔵とのバトルを見せた婆に喝采です。2020/12/12
ともくん
66
脇役に光が当てられている三巻。 武蔵とすれ違い、人生を翻弄されている、お通、朱美、お杉婆の三人。 武蔵は、ひたすらに剣の道を究めんとする。 そのストイックな姿勢が万人の支持を得ているのではないだろうか。 中弛みなんか無い。 ひたすら全力で吉川英治の筆が冴え渡る。2019/01/04
スター
45
この巻も、面白かった。武者修行のため諸国を歩く宮本武蔵、彼を追うお通のすれ違いが、ドラマを産む。 そして、宮本武蔵は、剣の名門吉岡家の長男吉岡清十郎と果し合いをすることに。2020/11/18