内容説明
田村俊子は、雑誌『青鞜』創刊号に耽美的な小説を書き官能的な資質と近代的自我の意識の間で揺れ動く、自立しようとする女の自画像を濃密、多彩な作品に残して数奇な遍歴の果て戦時下中国・上海の陋巷で客死した。その先駆的な生涯、作品共に再評価高まる女性作家の表題作と「生血」「女作者」「彼女の生活」「山道」等の代表作九篇を以って編成。新しい田村俊子像の再誕。
感想・レビュー
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YO)))
19
巻頭「生血」が凄い.男との情事の翌朝,何とはなしに庭に置かれた鉢を覗いて,金魚に名前を付けてみる.魚の生臭い匂いを嗅ぐ中に,「男の匂い。」と,ぞっとして,やおら掴み出した金魚の目玉をピンで刺し貫く….ラストの「蝙蝠が…生き血を吸ってる生き血を吸ってる」まで,どのセンテンスにも,情念と意志の間を果敢なく時に激しく揺れ動く女の心が反影しているようだ.他の作品はウーマン・リブ的な主義主張が前面に出過ぎていて私にはあんまり.2014/05/12
ヤマニシ
1
「木乃伊の口紅」2023/01/10
桜井晴也
1
「唯意味もなく別れると云うのはいやです。殺して下さい。あなたも男でしょう。――私のあなたに対する愛はそれほど強いのです。」2009/12/27