講談社文芸文庫<br> 不意の声

電子版価格
¥880
  • 電子版あり

講談社文芸文庫
不意の声

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061962392
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「チチキトク」の電報を受け取った時、女は父の幻影を見た。父の死後に結婚した夫とは諍が絶えず、しばしば現われる父の霊に励まされながら陰惨な殺人を重ねる。意識の底からつき上る不気味な想念。愛憎渦巻く夫婦生活を背景に、現実と非現実の交錯する妖しく孤独な内奥の世界を苛烈に描く衝撃作。読売文学賞受賞。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ken

6
河野多惠子は二冊目。前半の淡々と描かれる家族の風景や、放蕩夫との屈辱的な夫婦生活は私小説さながらで、こういうリアリズム小説も書く作家なのかと思いながら読み進めた。が、主人公が亡父の「不意の声」を聞いたところから、物語はゆっくりと不気味さと狂気を纏いはじめる。後半の出来事は現実なのか、あるいは過酷な現実から逃避した主人公の狂気の世界での出来事なのか。随所に謎を散りばめ、不可解な文章トリックなどもあり読者の想像は一層掻き立てられる。前作に続き、面白く読み応えのある作品だった。河野多惠子は外れがなさそう。2017/09/05

織沢

4
半分ほど読んで興が殺がれたのか、全く頁が進まなくなってしまい、二三ヶ月放置していたが、ここらで一区切り読み終えた事にしてしまおうと思う。 もちろん面白いのだが、途中での帰郷から何とも…2020/06/19

Mirror

3
「お足が足らないの...」夫婦生活を送る間に段々と溜まっていった吁希子の鬱屈が、自身の人生で瑕疵を付けられた人たちへの殺人の妄想へと変わっていく。 文章内で妄想と現実が交錯の線引が曖昧なので、実際に殺人をしているように勘違いしかけたが、おそらくすべては妄想だろう。 吁希子の殺人の衝動に対し、亡き父の肯定という妄想が加わり、肯定感を得ていく思考の流れはとても不気味でリアリティもありゾクゾクさせられた。2022/09/02

かめすけ

3
河野多恵子初読み。まずは解説・作家案内を読み本編へ。数々のエピソードは覚えているのだが、それらが物語の完成形としてどのように構成されているのか発見できず。他作品を読んだうえで、改めて読み直すこととする。貧相な感想で不甲斐ない。2022/06/13

Mark.jr

3
死んだ父に励まされて殺人を犯す女性。書きようによっては、もっとサスペンスフルな桐野夏生作品みたいになったと思うのですが。ゴテゴテさせずに、サッパリまとめることで、反って不気味さが際立っています。2021/06/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/59736
  • ご注意事項

最近チェックした商品