内容説明
深川で放蕩三昧の日々を送る南町奉行所見習い同心八巻卯之吉が、突如同心として目覚める。知り合いの俳諧師が殺害された事件の探索に自ら奔走。事件は大身旗本のお家騒動が絡んでいると判明するのだが、事態は暗転するばかり…。手下の荒海ノ三右衛門や放蕩仲間の梅本源之丞、庄田朔太郎らの協力を得て事件を解明できるのか?―。
著者等紹介
幡大介[バンダイスケ]
1968年、栃木県生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。テレビ局嘱託職員、CM製作会社に勤務。1995年、文筆業に転じフリーライターとして活躍。2008年、「天下御免の信十郎」シリーズ(二見時代小説文庫)で時代小説作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
55
シリーズ11作め。湯船を盗んでくれ、と言う妙な依頼を受けた俳諧師が殺された。その俳諧師は町人ではなく御家人だったため町奉行も詮索しにくいのであるが、話の本筋はその人の身分には関係なかった。湯船を盗むとどうなるか、と言うことで話が進んでいくわけだが、卯之吉の脱線ぶりで話はあちこちに飛ぶ。それを立派に回収して捕物も終わるわけだが、江戸の習俗、武士の考え方、身分の違いなどしっかりと踏まえた娯楽作品である。今回も結局は鵜木ち卯之吉の推理が決めて。それなりに働いているじゃないか。2023/09/03
sin
50
凶刃に倒れた卯之吉顔見知りの俳諧師の弔いか…珍しく事件に関心を示す同心八巻、そのお調べに直前に武家から仕舞屋の湯船を盗み出す依頼を受けたと云う謎の出来事が判明する。明らかになる旗本の御家騒動…只の同心風情なら手も足も出ない真相に卯之吉の策が黒白をつけるが、新たな逆恨みが敵を呼ぶ!2020/04/08
はにこ
36
湯船を盗む依頼と殺人事件。その依頼の裏に隠されている問題が大きかった。今回は珍しく卯之吉も動いたねぇ。とはいえ、いつもの調子で飲み仲間や荒海ノ親分や美鈴に守られていたけどねぇ。銀八がどんどん小者っぽくなってきたな。本職より向いているのでは!?今回は弥五郎さん達はお休み。次はまたもや天満屋が絡んでくるのかなぁ。2021/06/15
ベルるるる
34
最後にまたも天満屋登場。天満屋ってすごい親分みたいなのに、人を見る目がないよね^^ 勘違いにつぐ勘違いで、卯之吉を江戸一番の敵に祭り上げてしまってる。2018/11/08
とし
31
少し変わったタイトル「湯船盗人」なるほどなるほど・・・卯之吉さんが積極的に推理をめぐらし探索に力を入れ、朔太郎と源之丞、荒海一家を臨機応変に使い、美鈴さんまで使う演出、最後は祖父三国屋徳右衛門に頼み老中出雲守に政治的決着をつけさせる、最初で最後になるのか?珍しく本作。 面白く楽しく読めました。 2013/11/14