内容説明
“大型新人”として登場以来25年、文学的成熟を深めて来た大庭みな子の、あらためてその先駆性を刻印する初期世界。群像新人賞・芥川賞両賞を圧倒的支持で獲得した衝撃作「三匹の蟹」をはじめ、「火草」「幽霊達の復活祭」「桟橋にて」「首のない鹿」「青い狐」など初期作品を新編成した作品群。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
202
第59回(1968年)芥川賞。 「三匹の蟹」というアメリカの 海辺の宿で 繰り広げられる 人間模様が 印象的な物語である。 由梨のまわりで 繰り広げられる 会話は 上滑りで、海外に住む当時の日本人の 心象風景なのだろうか? 由梨の孤独、退屈、虚しさが 桃色シャツとの 対比で 書き込まれている、作品だった。 2017/08/21
absinthe
147
どこか悲しい場末の雰囲気。当時の時代らしく、勤勉ではあるが女を下に見た夫。妻を自由にしてくれるのは、怪しいネオンサインの場所だけだったのか、という話。場所がアラスカである。こういう話しにつきものの「北国」を大げさに遠方にした設定がよい。小説の冒頭は時系列では最後である。なぜ冒頭のようになったのかが語られていく。気づくと悲しさアップである。うーん、著者と似たような名前のメンバーがAKBにいた気もするが、勘違いだったらしい。2023/12/11
優希
45
美しい調べを聴いているような短編集でした。発表当時はセンセーショナルを巻き起こしたのだとか。会話がふわっとしているのが気になります。2023/12/17
いちろく
20
紹介していただいた本。『三匹の蟹』目的。執筆されたのは1968年。アメリカに夫の仕事の都合で移住した専業主婦が主人公。パーティーの準備に翻弄され、10歳の子どもにはバカにされ、海外赴任の夫には、ある意味仕える様な状況。更には一夜を伴にした行きずり不倫相手には、20ドルを抜き取られているという始末。踏んだり蹴ったりな当時の海外で孤独な心情の女性を、ここまで描くかと。1ドルが360円の時代であり、海外の日常が今以上に遠い世界だった頃。芥川賞受賞作でもあるので、当時の選評を見てみたいと思ったのが本音。2023/07/08
yumiha
13
なんとなくサリンジャーを想起した。サリンジャーでは青年、大庭みな子は女性の立場で、ありがちに流れてしまう人並みの暮らしや日々の違和感を鋭く見抜き、自分にとっての真実は何か?を追い求めているように感じた。2014/05/01
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