内容説明
幻想的でナイーブな、第1部初期習作時代、一貫する主義思想を卒直に語る、第2部戦後の雑記類から、母の死の記憶の追跡に始まる、第3部生い立ち回想。重厚、誠実、悠揚迫らぬ風格で戦後文学を支え、批評によって人間存在の根底、芸術の普遍性を提示し続ける本多秋五の精神世界の源泉。鮮烈多面的に語る、17歳から69歳までのエッセイ群。読売文学賞受賞。
目次
第1部 初期習作―1925~1936(言葉の価値その他;新居雑話;埋め草にでも;郷愁 ほか)
第2部 戦後の雑記類から―1946~1970(『近代文学』同人雑記・編集後記;『戦争と平和』について;少数者のために;壺と胡桃 ほか)
第3部 生い立ち回想―1950~1977(古い記憶の井戸;戦死した兄のこと;サイパンの旅;鋼治兄のこと ほか)