内容説明
鏡の前の女の意識の流れ、性をめぐる自由奔放な空想と溢れるイメージの連鎖を結晶化させた実験小説「水晶幻想」。亡き恋人を慕い〈輪廻転生〉を想う女の独白「抒情歌」。生きものの死を冷厳に見据える“虚無”の視線「禽獣」。「青い海黒い海」「春景色」「死者の書」「それを見た人達」、「散りぬるを」等、前衛的手法のみられる初期短篇8篇。“死への強い憧憬”を底流とした著者の文学の原点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
75
初期から彼の作風が徐々に形成されていく様子が分かる短編集。「青い海黒い海」「春景色」「死者の書」などは実験的というか試行錯誤。「水晶幻想」などは、意識の流れ風な当時としては先鋭的な作品。正直、川端ファンとか研究者には興味を持てるだろうが、吾輩は退屈だった。 「それを見た人達」から「禽獣」になると、読み応えがある。川端文学が始まったと感じられる。2020/07/18
冬見
18
川端康成初期短編集。既読のものもいくつか。幻想の濃度が高く、前衛的・実験的な作品が多い印象。どの作品もおもしろいし好きな雰囲気だけど、感想を書くのがとても難しい。こういう感じの作品ならもっと好きな作品があるかなあというのが率直な感想。どの作品も死の気配が漂い、どこか不穏。悪夢の中で微笑する恋人のような。手を伸ばしてもすり抜ける。以下メモ。【青い海黒い海】二つの遺言が見せる拡大する世界の物語。幻想の濃度が高い。彼に聞こえているのは彼の声だけで、それは相手がきさ子でもりか子でも一茎の野菊でも変わらないだろう。2019/05/01
いりあ
18
川端康成の初期短編である"青い海黒い海(1925)"、"春景色(1930)"、"死者の書(1928)"、"水晶幻想(1931)"、"抒情歌(1934)"、"それを見た人達(1932)"、"禽獣(1935)"、"散りぬるを(1933年)"の8編を収録。とても感覚的な小説だったり、犯罪小説だったりと誰もが思い浮かべる川端作品とはちょっと違った、でも川端らしい雰囲気のする短編ばかりが集められており面白いです。どの作品にも濃密な死の匂いがまとわりついています。2014/10/04
たばかるB
10
決して華々しいものではなく話が二転三転するわけでもないのに、心の芯に届くような美しさ...は流石に未熟な自分にははっきりと感じとれなかったけれど、時代を経たにも関わらず浮かびやすい情景や行動の言葉回しにはただただ感服するばかり。先に読んだ「みずうみ」とは少し違った、けれども似たような雰囲気を感じ取れ、川端康成に近づけたかな...?2018/11/23
桜もち 太郎
10
初期の短編8作。死・死・死・・・・。とにかく難解。しかし後の川端作品の土台となるものであるような気がする。巻末の解説と作家案内を読むことで、これらの作品の意味を理解することができた。中学時代にすべての身内に死なれ孤児となってしまった川端康成だからこその作品なんだと。一人の作者を読み続け、その過去を知ることにより、自分なりの読書の仕方が分かった気がする。2015/03/04
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