講談社文芸文庫<br> オモチャ箱・狂人遺書

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講談社文芸文庫
オモチャ箱・狂人遺書

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  • サイズ 文庫判/ページ数 396p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061960688
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

世間が顔をしかめる女たちが、安吾の前に頻出する。安吾はそれを“自然”だとし、その文学の中に析出する。安吾が析出した女たちは、40年の時空を超え、今、更に光を放ち、生き出し、動き出す。安吾が“予言者”であることを証明するかのように。敬愛する牧野信一の人と文学を語る秀作「オモチャ箱」、坂口安吾晩年の力作「狂人遺書」ほか八篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

そり

17
「オモチャ箱」から「水鳥亭由来」の流れで読むと絶品!▼オモチャ箱は、才を持てども未完成のまま自殺した牧野信一をモデルとした話。その才とは、根底に必要な現実性を描く為の、冷厳なる鬼の目。水鳥亭由来では、あたかも鬼の目を継承したかのような書きっぷり。舞台は戦時中で、これまた見事に浅ましい男が生きている。しかし、彼は、どれだけバカらしくとも希望を持ち続けていた。▼しみじみと胸の奥があたたかくなる。安吾一流の追悼は、体温が感じられて良い。2014/05/14

hasegawa noboru

4
「中庸」終戦直後期の村政治のドタバタをかつぎ出されただけの元海軍大佐の村長「余」が綴る。無能、発狂の果てに「中庸に敗る」の墓碑銘を残した、その「中庸」の精神とは何か。村の助役が代表する、村人らの精神。「消防団長が放火する」「熱心のあまりです。戦争を裏切る者は軍人ですよ。」「奴らが一番願っているのは、国のことではなくて、自分の成功と、他人の失敗なんです。もっとも、軍人だけに限りませんや。すべて各界に於ける最大の裏切りは、その道の者が行うのですよ。」現に今だって、一国の首相たる者がウソをつく、私利私欲する。2018/07/04

amanon

4
著者がいかに特異な作家であったかを改めて痛感させられた。例え陰惨な結末で終える作品でも、それ程読者を憂鬱な気持ちにさせない、独特の乾いたユーモアを感じる。また、普通は片仮名を充てないような単語にあえて片仮名を充てる著者独特のやり方に興味を覚えた。個人的に一番心に残ったのは、「水島亭由来」。妻子から馬鹿にされ、かつての同僚からはいいように扱われている主人公が、戦争のどさくさに紛れて、邸宅の主になり、後の伴侶となることを予想させる女性と新たな生活を始めるというストーリーには、何とも言えず胸がすくものを感じた。2013/12/19

うさぎさん

2
完全な創作と事実に基づいたものが混在しており、予め解説を読んでおいたほうが心構えができていいかも。物語によってリズム感の変わる文章は短編集というよりもアンソロジーを読んでいるよう。 切なく苦しく、逃げることができるはずなのにその穴の中でもがくことしかできない人々の様子がどこか愛しい。『水鳥亭由来』『狂人遺書』が好き。2016/08/25

テツ

2
生きることはどう転んでも浅ましい行為であることは疑い様もなく(特に必死に必死に生きている姿は)生きることに嫌悪感を覚えてしまうけれど、人間の人間としての美しさや気高さはそこからしか生まれないということも理解できる。安吾の決して気負わず、上から目線にもならない形の、物語に仮託する人生論は凄まじい。結局生きることは、それを死に物狂いで行っている限りでは、美しい行為なのかもしれない。2013/06/23

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