講談社文芸文庫<br> 単純な生活

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講談社文芸文庫
単純な生活

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  • サイズ 文庫判/ページ数 437p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061960367
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

“もっと単純に生きられたら”―。息子の受験、母の死、自身の心臓病など二年半の日々を、静かに、淡々と融通無礙に綴る、阿部昭の“自然と人生”。凛然たる精神、深く滲み出す人間理解のユーモア。阿部文学の静かで豊かな達成―。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

22
融通無碍、とでも言うべきだろうか。宇野浩二の文章の捻じれ方というのとも違うし、後藤明生のように脱線を繰り返して笑いを取るというのでもない、一見すると平明でダラダラとしているようであって、それでいて実は凄く技巧的でもあるという……保坂和志がやらんとすることを先取りしていたかのようでもあり、古びていないので驚かされてしまう。個人的には十河進のコラムを読んだ時にも似た印象を抱いた。中年男の悲哀がクサくならない程度に滲み出ていると思わされてしまったのだ。大した作品だとは思わないのだが、しかし余韻を残す侮れなさ……2018/10/02

ネムル

18
後藤明正ほどめんどくさくなく、小島信夫ほど破格でもなく、日記とも随想ともぐだ文ともいえぬ「単純な生活」。味噌がどーとか、枝豆がどーとか酒呑みのぐだぐだが始まると無性に面白く、おっさんの物申すが始まるとやっぱりつまらなく、良いとこと悪いとこが同居している……などと評したら阿部昭の術中にはまっている、というか術中とか言い出した時点でもう……と思いつつ、好きとも嫌いとも言えぬままに楽しく読んだ。冒頭に出てくるカモノハシの例え、カモノハシを複雑と感じるは観察者であって、カモノハシが複雑さを感じるはずもない。2018/11/10

michel

16
★4.0。初読み作家さん。また、印象に残る小説に出会えた。様々な"生活"の細部を描写し続けていく。庭、海、猫、妻、子供、父、母、友人、病…作者に重なる主人公が綴る約3年。日常の暮らしの中で、取るに足らない些細な事柄、笑止なくらいこまごましい、もろもろの事物の力によって私たちは生きている。"自然の営み"は刻一刻と反復繰り返していく。"人間の生活"も複雑な諸事の連続。「単純な生活」とはそのようは複雑なもろもろの事物の助けなくして人は一日とて単純な生活を生きることは出来ない、と教えてくれる。2020/06/28

AR読書記録

5
日常エッセイふうであり、タイトルともあいまってゆるゆるした気持ちで読みはじめたが、だんだん「単純な生活」ってなんだろな?と気になってくる。確かにあまり時間の拘束やら決まりごとやらの少ない文筆家ライフにひみえるけれど、子どもの受験だとか自身の病気だとか、日常の平穏をやぶる複雑な出来事もままある。でも、生きてりゃそういうことがあるのもふつうのことだろうし、それも含めて単純というべきか。いや、だからこそ生活ってのは単純なものじゃないという反語的なものを感じるべきか。さらさらと読めるなかに含蓄がある。味わい深い。2014/06/18

7kichi

4
いい本を読んだ。2014/07/30

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