出版社内容情報
【内容紹介】
潮風のわたる入り江の町。ナオがきいたのは、カワウソの声なのか?
母を交通事故でなくしたナオは、父ともわかれ、おじ夫婦のすむ入り江の町で暮らすことになった。母の死を、心の傷としてかかえるナオだったが、岬のほら穴にすむといわれるカワウソの話に心ひかれていき、友達のセイといっしょに、ほら穴のなかへと入っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なみ
1
1992年講談社児童文学新人賞 母を交通事故で亡くした少年は、仕事で留守がちな父と離れおじ夫婦の元で暮らすことになった。都会から海辺の村で生死をかけた経験から、深い人間関係と厳しい自然を学ぶ。丁寧に心情を書いてある。ハッピーエンドではないが、たくましく生きていく姿は想像できる。2015/06/27
・
1
19年前の椋鳩十児童文学賞受賞作。港町での少年2人の交流。死とその乗り越えがテーマ(たぶん)。あの松本大洋が挿絵と表紙を担当。テーマ以外の良さとしては、漁村に住む少年たちが普段どのように遊んでいるのか、知ることができる点。潜って魚や貝をとったり、引き潮のときだけ現れる洞穴を冒険したりと、都会や山育ちの子にとって、目から鱗なことが多い。大人になっちゃったいま、児童文学を読むのは小恥ずかしいが、そのぶん子どもにも薦められるし、ゲームばかりだった子ども時代を埋めるつもりで、読んでいきたい。2013/10/22
acidrain
1
死がテーマだと思います。母を交通事故で亡くしてそのころから父ともぎくしゃくし、おじ夫婦と住むことになり、カワウソのほら穴の事を聞くようになったナオは友達のセイと一緒にほら穴の中に入ろうとします。ほら穴は潮が引かないと入れないところにある危険な場所ですが、好奇心が先走り大人の言うことを聞かずに探索します。母の死から子供に顔向けできず自己嫌悪に陥る父、身近な親しい人を亡くし初めて父の言ったことが理解でき死の怖さと命の大切さを知るナオ、子供ながらに残酷な事をしたのも今思えば納得できるものでした。2012/06/25