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- > 講談社 山岡荘八文庫
内容説明
昭和16年、日米両国は最悪の関係に陥っていた。前年の日独伊三国同盟に徹底対抗を宣するアメリカ。大統領ルーズベルトは、すでに対日戦争の肚を固めていたのだ。日本は打開策を模索し、再三交渉の特使を派遣するが…。太平洋戦争全史を描いた唯一の大河小説、今よみがえる!全9巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
41
前提として。当時は厳然とした白欧人から有色人種への一方的差別が正義であり、現代の平和、平等、人権という常識が通用しない世界であることを踏まえることができないのなら、本書を読み進めることは、毒であり時間の無駄だ。そして、戦後教育では交戦的で思慮の浅い、悪の権化たる者どもが、かくも愛すべき人々であったかと。平時の兵法を誤り、必定的にアメリカとの戦端を開く模様。開戦を避けても無条件降伏はシナリオ通り。そのシナリオは著者のものか、アングロ・サクソンか判断するのは読者。座して死を待つ誉れは私も持ち合わせてはいない。2023/05/28
イプシロン
24
開戦決定までの流れを再確認するために読んだ。読了は三度目。当時報道班員として「あの戦争」を体験している筆者だけに、山岡作品を読むことに意味があると思う。相手がやろうと固く決意していれば、こちらは何をやっても無為無策だ。重い言葉だ。抑止とは相手をやる気にさせないということだと実感した。白人至上主義、世界情勢、共産テロによる扇動、自存自衛、外交の巧拙、強力な権力者たち(ル・チャ・ス・ヒ・蒋)の台頭、開戦への原因は複雑に絡み合っているが、日本側の原因とすれば、三国同盟と南部仏印への進駐という事実がそれであろう。2015/10/02
Takashi Takeuchi
14
東條英機、松岡洋右は戦争を起こした悪人。子供の頃にはそのように習った記憶がある。時を経て様々な文献や映像作品を通じてそんな単純な事ではないと知った。自分の中でいま一度太平洋戦争を考えてみようと手にした。歴史にifはつきもの。もし、中国から勇気を持って徹底し、蒋介石と手を取っていたらどうなっていたか。それでもやはり避けることはできない戦争だったのか。日本人外交の弱さはこの頃から今も変わらず。2019/12/14
dokusyozuki
11
マスコミや国民が、戦争責任を東条英機と軍部になすりつけて、ほっかむりをしたのが戦後の平和教育ということか… もしハルノートを受け入れていれば、国民は激怒し、マスコミはそれを煽り、日本で革命がおこり、共産化していただろうか… 共産主義がダメだと実証された現代において、当時の判断は正しかったということか…300万人の死者をだし、戦争はこりごりだとした日本人。1200万人の死者をだしたロシアは今も戦争に意欲的。米国も同様。白欧主義的平和がどれほど血に塗られたものかには眼を背け、平和を享受する日本人。大丈夫か?2024/01/04
タッキー
11
最初に『執筆を終えて』から始まりますが、これが印象的。この小説がどこまでノンフィクションかフィクションなのか分からず、でも一方で、戦争が行われたのは事実なので、なんとも言えない気持ちで読みました。太平洋戦争の始まりっていつなのか、やはり昭和2年の満州事変からなのかな。20年近い戦争の最終盤が、この最悪の太平洋戦争。しかし、欧米に戦争をするよう仕向けられた。相手は原爆を落としたのに、日本はホノルル市街に被害は与えていないといった内容をはじめ、日本贔屓の論調が、かなり偏った見方かもと、気になりました。2023/01/28