内容説明
華やかな宮廷と漂泊の旅路。“女”に強いられた理不尽さを問い読けて生きた一人の貴族女性の稀有な記録。離れまた結びあう不可思議な男女の謎。古典と旅への誘い、書下ろしエッセイ。
目次
十四の春
雪の曙
父と娘
ふたりの子
道芝
尻を打ちあう
有明の月
雲がくれ
死ぬほどの悲しさ
ふたりの男性
兄と弟
有明の子・有明の死
家出・旅立ち
鎌倉
東国の旅
奈良へ
再会
潔白の証明
西国へ
死と別れ
父母の形見
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
18
富岡多恵子による「とはずがたり」のストーリー抄録と舞台の解説。とてもオーソドックスな紹介だと思う。初出90年、そして佐々木新訳のないところで、二条自身の波乱の生涯だけにとどまらず、作家二条が自分をどうあらわそうとしたかという観点から紹介しているのはとても新しかったのではなかろうか。この視点があるだけで、二条のことを、受動的な性の対象、翻弄される存在だけではなく、したたかに戦略的に生き抜く存在としてイメージできるのだから。2020/08/09
アカツキ
10
「とはずがたり」のおさらいをしながらのエッセイ。二条の自己プロデュースを随所で解説しているところが面白い。尼になった二条が後深草院と再会した際のやりとりを考察したところが特に良かった。さっぱりした気持ちで向き合う二条とまったく成長していない後深草院の対比。それでも二条は父母の形見を手放してまで亡き後深草院のために写経を奉納する。二人にしかわからない絆があるんだな。2022/10/15
石ころ
1
大学図書館にて2015/10/10
ninoko
0
海野つなみさんの後宮で興味があったので読んでみた。2013/07/09
いすず50
0
杉本苑子氏の「新・とはずがたり」の背景を知るために読んだ。「新」は、西園寺実兼の視点で新しく創作されたとのことだったけれど、こっちを読む限りではかなり忠実に思える。現代語訳、もしくは新訳の「とはずがたり」を読んでみたい。2009/11/15