内容説明
「こういうのが恋っていうんだよね」夜中の二時、こうして祐子に電話するのはもう日課になっている。「保坂さんの時は、やっぱり憧れだけだったと思う。だって、あと1ヵ月ちょっとで小川君とお別れだと思うと、本当に涙が出てきそうになっちまうもん」「ねぇ、小川君、私のこと好きだと思う」葡萄づくりの街に生まれた女子高生の乃里子が美しい四季の移ろいを背に、少女から大人へと育っていく。ありふれた日常の中にあふれる笑いや涙や葛藤、淡い恋。どこにでもありそうな、それでいてとても優しい林真理子の感動の長編小説。