内容説明
エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが500年の時空を超えて突然蘇り、空中30メートルの密室で男が溺死を遂げる。アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格推理の名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
462
昔、お年玉で『水晶のピラミッド』~『アトポス』のハードカバー3冊まとめ買いしたなぁ…。読んでて恥ずかしくなるようなアメリカンジョーク満載の会話から始まり、古代エジプト、タイタニック沈没まで風呂敷を広げに広げ、400ページくらいからようやく御手洗登場、と思ったらレオナがヤバいくらいに情緒不安定になってベタベタのメロドラマシーンが挿入され、読み終わった後に冷静に振り返ったら何の意味もなかったエジプト行を挟み、最後の最後でショボ…コンパクトにまとまった真相が披露され御手洗10万ドルGET!という物語。2017/04/01
Tetchy
112
重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説であったが、少しも疲労を感じさせなかった。リーダビリティに関してはもう云うことはないだろう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係は無かったのだが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えている。よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんだろう、これは!!2009/03/02
K
103
久々の御手洗潔シリーズでしたが、じっくり楽しめました。アメリカ・エジプトを舞台に、ピラミッドの謎に挑む今作は「文明」に1つの焦点を当てていたように思います。事実、前半部は2つの過去の時代を行き来しながら当時栄えた「文明」の描写を子細に詰め込んでいる。対して後半部は現代に時代を移し、華々しいハリウッドの映画製作現場で起きた事件を素地に、裏に潜む宗教や戦争といった背景を交えながら「文明」について触れられている。文明の興隆を繰り返し、その度に犠牲者を出しながら、"歴史は輝きながらも残酷に、刻まれていく。"2018/04/14
takaC
90
かなり頭脳的に取り組まないといけない小説で、色々な意味で読み終え時の達成感が大きかった。この小説にはこの長さが必要だったのだろうということは理解できたがとにかく長かった。話の内容には関係ないがブルーナイルの嫌な記憶を思い出してしまい気持ち悪くなった。2013/10/14
aoringo
82
密室の中で海水により溺死した死体。タイタニック号、エジプト、アメリカと目まぐるしく場面は展開していく。水晶のピラミッドが脳内でうまくイメージできず、置いてけぼりをくらったような気持ちになってしまった・・・。でもピラミッドの謎の解釈の一つとして、ミステリーとはまた違った側面が見ることができて為になりました。愛犬の死で鬱病になる御手洗さんだけどラストはキレッキレの推理ショー。この人が出てくるだけで極上の作品になります!2019/09/25