内容説明
恐ろしいまでの完全主義。恐ろしいほどの自信、誇り。ドライバーを下僕のごとく従わせて敢然と走る小しゃくな車ポルシェ。名車ポルシェ911をひたすら愛し慕いつづける車フリークのミステリー作家が世界の街々で、日本で、車社会を通して見たユニークな文化論、都市論、日本人論を展開する痛快エッセイ。
目次
前章 ポルシェ911の誘惑(ナイン・イレブンの肖像;インドネシアの印象;スペースシャトルの話;マカオで会ったジャッキー.チェン;上海の印象;ロンドンにて ほか)
後章 疾走する乗車民族、日本人(都市が産み落とすもの;スリーポインテッドスターの予言;切り捨てられた民、有鉛仕様車;高速道路の速度制限;走る家;東京モーターショウ;プロポーションにハンディを負う者 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
40
島田氏は根っからのストーリーテラーなのだろう。このエッセイでもその語り口にぐいぐいと魅き寄せられる。2009/01/11
naolog
9
S14やFD3Sが世に出る前のもっさい日本車と海外の比較評論エッセイ。外から見ているにしては良く知っているなと思いつつ、モノづくりの理屈には疎そう。ベルリンが分かれていることや、中国の社会主義性が強調されていることに時代を感じますね。何よりシートベルト着用義務とエアバッグ開発が最新の安全装置ネタとは。がんじがらめの規制に慣れている日本人論は納得。鉄道との競争で高速道路は有料なのか。速度規制を制限速度でなく「指示速度」と読む人の多いこと。クラウンがカローラを超えて売れる金余りの時代を見てみたかったなぁ。 2021/10/03
二葉
5
今となっては、テーマや問題提起は古くさい部分もあるが、読みやすい。2018/01/20
カラス
4
島田荘司の車オタクとして側面が表れているエッセイ。自分の場合車の知識はなく、興味も関心もないので理解できたのは半分くらいだが、車という工業製品にも、国の思想や美意識が表れるというのは面白かった。また、島田得意の日本人論も絡めつつ車を語っていて、そういった部分は文明論めいてなかなか興味深い。車に興味はなくても、それなりに読めるエッセイだった。2018/06/02
ココアにんにく
0
19970205読了 GB借