内容説明
大韓航空007便は1983年9月1日未明、ソ連のミサイルによって撃墜され、269人の生命がサハリン沖に消えた。ショッキングな事態の中で、決め手となる情報を手にした日本政府は、かつてない情報コントロールによって、対ソ戦略のシナリオを固めていく。国際舞台の凄絶な情報戦争のドラマを描く。
目次
晩夏
消えた007便
情報コントロール
墜落?
クライシス・マネジメント
シナリオ・東京
シナリオ・ワシントン
目標は撃墜された
第2のシナリオ・制裁
クレムリンの反撃
1票の攻防
ソウルの絶叫
非情の海
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
26
冷戦時代の産物。人命ではなく、大国としての面子。データが情報、そして情報が”武器”となる過程。そして情報戦略。事実の積み重ねによる論理展開は共通。差異は、事実の定義と、事実の”誤差”の解釈。国際法と国際機関の限界も露呈。日米露の神経戦の中、パブロフ大使の瞬間的に垣間見えた「人間味」が印象的。共同捜索拒否の上、遺体もなく、限られた遺品のみの返還。被害者家族の心の痛みが癒えることはないだろう・・・。2014/05/02
KEI
10
1983年9月1日に起きたサハリン上空に於ける大韓航空機撃墜事件のレポート。事件から半年後には上巻を、1年後には下巻が上梓されたが、ゴルバチョフ政権下ペレストロイカ政策以後、米ソのジャーナリストのレポートに発表された情報を元に91年に再編され文庫化された。269人の命を奪った事件は衝撃的ではあるが、外交政策の上では「一過性」の事件として考えられていた事。防衛の機密による情報コントロールと危機管理、国連緊急安保理の非難決議への根回し等、水面下の動きを分かりやすく書かれていた。中巻へ続く。2015/12/07
卯月
1
職場本棚。1983年、ソ連領空で民間機が撃墜されサハリン沖に墜落、269人が死亡した。重要情報を掴んだ日米はそれぞれ対ソ戦略を固め、「ソ連に“撃墜”の事実を認めさせる」という獲得目標に向けて動き出す。国連を舞台とした、ソ連非難の劇的なビデオ・ショウ。日米の協力と温度差。国益と国民感情の兼ね合い。当時6歳で記憶にない事件だが、読み始めると止まらない。2012/03/29
foxhanger
0
マレーシア航空機撃墜のニュースを聞いて、本棚にあったこの本を引っ張り出して読んでみた。たぶん20何年ぶりかの再読。当時の外相は安倍晋太郎だったんだな。2014/07/24
ゆめたがえ
0
本を入手したあとすぐにマレーシア航空の撃墜事件。なんとも複雑です。この本の感想としては官僚がきちんと動いている、という印象。2014/07/22
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- 和書
- ある京町家の一〇〇年