内容説明
禅の道は現実逃避の独善ではない。酒・狂歌・女を愛する禅僧一休宗純は、南朝遺臣の反抗騒動や領民の一揆には命がけで周旋の労を取り、大地震、洪水、旱魃では難民救済に奔走し、実生活に根ざす禅修行を貫く。だが、一休の持論である禅僧の妻帯発言が新たな紛糾の火種となる…。著者の遺作大長編。
感想・レビュー
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Peter-John
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一休宗純の壮年から晩年(87歳で没)までの出来事が描かれています。時代は応仁の乱と重なります。 最終章で、いったい自分は何をしてきたのだろうと一生を振り返りますが、禅宗の坊さんでもそうなんですね。 作者の川口松太郎さんの86歳の作品で、原稿用紙にして1000枚。あとがきは息子の浩さんが書いています。生命のぎりぎりまでこの作品に没頭されていたようです。 戦さや飢饉、一揆のような波瀾万丈もありますが、孤児をひきとり育てた弟子8人。妻帯や性ち対する考えもおもしろいものです。2020/12/04