内容説明
中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。―覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。
目次
神話から歴史へ(三皇五帝;王朝始まる;大いなる落日)
中華の揺籃(斜陽の道;鄭のこえ;ひろがる天下;覇者登場;覇者交替;孔子前後;南の風)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
24
中国の古代史、殷と周から春秋時代。殷は漢字の甲骨文字で知られる白川静の漢字学の興味から。周になると神よりも人間に重きを置くようになる。殷は伊尹、周は太公望などの王の側近が活躍する。またこの時代は占いの生贄に奴隷やら動物(犬とか)使われて漢字の起源はおどろおどろしいものがある。その時代が殷であって、周はそういうことを無くそうと人間中心になったので孔子が理想の国家として崇めたという。ただ司馬遷の『史記』では孔子は正しくないとディスっている。陳舜臣は『史記』を中心に述べているので孔子は政治的ではなく儒教は理想論2024/12/15
Tai
18
氏族共同体で分配をしていたユートピア時代「大同」が儒教や改革者が目指す理想の姿/時を授ける堯、親に孝、賢人を登用する舜、治水の禹。天地人/創業期、躍動している集団は伊尹や太公望のように身分の低い者でも才能を発揮する機会が与えられる/殷は精神面を神に委ね、周はより人間的に。太公望は大凶の亀甲も踏んづける/殷の国号「商」殷の遺民は公益を始める。商業。商人/周10代厲王が逃亡し帝王不在の14年、周公と召公、二人の宰相が共に和して政治をした。「共和」/与えることが取ることであると知るのが、政治の宝である。「老子」2022/07/04
魚京童!
13
面白いよね。戎が恵比寿になって、年明けからひたすら走る競技をサッポロビールで売っている。蛭子との同一や戦の神様だった気がしたけど、今は昼間から酒を飲んでる七福神。そんなことを中国の本を読みながら考えてみた。とても面白い。夏の時代を認めないのは、卑弥呼がいないと言っているのと同じだ。知りたいことを知ることが問題だ。知りたいことは罪だ。詰みかもしれない。2025/01/03
彬
12
まったくの無知の状態で読んだ。歴史関係の解説書は下手なものにあたると出来事を羅列した無味乾燥な文章を読む羽目になるがこの本にそんな心配をする必要はない。中国の神話から始まり春秋戦国時代までを扱っている。それだけでなく、神話形成、古代中国の生活、思想と扱い、現代から見れば承知しかねる考え方もきちんと解説してくれているので引っかかることも飽きることもない。そしてなにより、面白い。もちろんこういう本につき物の筆者の思想も混じっているだろうが、初めて手に取る中国史の本としては迷わずおすすめできる。2013/01/24
Akihiro Nishio
11
小説十八史略を読みながら本シリーズもあわせて読むことにした。あわせて13巻の長編突入である。これだけの長編は「ローマ人の物語」以来か?さて、先に十八史略を読んでいるので、本書の内容はスムーズに頭に入ってくる。自分のように中国史を読むのが初めての人間には、この順番が良いだろう。周王朝が以降の中国の原型となり、それが日本にも影響を及ぼしていることが良くわかる。明治時代に作られた公侯伯子男の爵位が、まさか周王朝に由来しているとは驚いた。2016/02/06